医師に必要な能力と言えば、以前はホスピタリティ、技術・経験といったものであったはずですが、昨今はこのような能力だけでなく、コミュニケーション能力までもが求められる時代になりつつあります。現に、全ての診療科目ではなくとも、一部の科においては面接において「対人能力」が重要視される向きも出てきています。
AI、VR、SNSなどのデジタルテクノロジーが全世界的に浸透しつつある今、命を扱う現場においてこのような"人間らしさ"とも呼べるような部分が重要視され始めているという事実は、デジタルな考え方をする人々が増えてきている中で、人にとってどのようなものが本当に大切であるか、ということを考える1つのキッカケとなるのかもしれません。
そこで、今回はこれからの医師に必要とされる"対人能力"が必要とされる理由、向上させるためのテクニックについて、少しお話をしたいと思います。
医師に求められるもっとも大きな要素は「どのような結果を出すことができるか」という点に、現実的には尽きるでしょう。そう考えれば、これまでのように技術や経験といった"過去をベースとした実績"が重要視されることは間違いありませんし、これからもそうあるべきでしょう。確かな技術や経験があってこそ、医師として信頼されるというのは基本的な考え方として大切にしておきたい所です。
しかし、一部においてはこのような考え方と並行し「対人コミュニケーション能力」を医師に求める向きが出てきています。特に対人スキルが必要とされるのは小児科と言われていますが、内科系では全体的にこのような動きが今後も強まってくる気配があるため、転職を検討する際には「対人能力・人間性」がより重視されるような変化が起きると考え、備えておいた方が無難だと言えます。
では、どうしてコミュニケーション能力を必要とされる動きが出てきているのでしょうか。この点については幾つかの考え方がありますが、一つは「対人能力の低下した人材が増えている」という点が挙げられます。高齢化なども絡んでいるのかもしれませんが、医療業界を含め多くの業界でこのような傾向が見られています。
SNSを始めとするデジタルコミュニケーションツールを依存的に使用することにより、社会的生産性の低下や心理的脆弱性が強化される恐れがあるという話もあるほど、デジタルデバイスに依存する人々が増加し、リアルなコミュニケーション活動が全体的に低下傾向にあるため、必然的に"空気が読めない"、"協調性がない"ような方が増えているのです。
このような状況ですから、必然的に"コミュニケーション能力の高い人材"を欲する傾向が出てくるのは仕方ないものと考えられます。
では、対人折衝能力に自信のない方はどうすればいいのでしょうか。答えは、鍛えることです。対人能力は人付き合いを通じて、幾つからでも鍛えることが可能なため、もし不安に思うようであれば、コミュニケーション能力を高めるための動きを行うことをお勧めします。具体的な方法としては、以下に挙げるようなものがお勧めです。
・既存の人脈にいない新しい知り合いを作る
・何かの教室など、複数人以上と同時にコミュニケーションを行うグループに入る
・短時間でも構わないので、接客業のアルバイト等を行う
単純に考えますと、デジタルデバイスを使用せずに様々な人とコミュニケーション可能な場所に身を置くことさえすれば、大抵の場合は徐々にではあっても、コミュニケーション能力が向上してきます。「この人、話うまいな」という人が周りにいるのなら、そういった方を参考にしながら継続していくことがポイントです。
いかがでしたでしょうか。対人能力に自信のある方にとっては取るに足らない問題かもしれませんが、医師の中にはコミュニケーションが苦手という方も少なからずいらっしゃいます。外科系の科においては当面、このような動きはみられないものと思われますが、内科系の科でお勤めなのであれば、こういった動きが一部に置いて活発化しているという事実を、頭の片隅に置いておくことをお勧めします。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |