難病指定されるような症状の多くは、その根本の原因が掴めないが為に、画期的な治療法が見つからないということもよくあります。特定のポイントを阻害する、細胞にアタックするといった方法でも一定の成果が出せる時は良いのですが、病はナマモノのようなものですから、投与した薬剤が必ず成果を出してくれるわけでもありません。
そのような中で、現在の最先端医学ではデジタル・AIを用いて何らかの解決策を生みだそうとしています。時代の流れから言えば、やはり新たな科学の恩恵を利用することも必要かもしれませんが、その一方で新たな視点から根本的な解決を図るべく画期的なアプローチを試みる医師も増えてきています。
そこで、今回は数々の病の原因、あるいは関与の疑いが強まっている「真菌」についてのお話をしてみたいと思います。
今、何故真菌に注目が集まっているのか。その理由の1つは"リーキーガット症候群の認知度向上"でしょう。海外を中心に、リーキーガット症候群かどうかを見極め、腸からのアプローチをベースに考える医師が増えているのです。まだ国内ではそれほど浸透していないワードかもしれませんが、それでも医療系トピックスで見かける機会は増えています。
リーキーガット症候群の状態では、文字通り腸から様々な物質が体内に漏れていくという現象が起きているのですが、このような不調を抱えている方の多くでは「腸内で真菌(カンジダ菌)が増殖している」ことも、明らかとなっています。では、腸内で異常にカンジダ菌が増殖してしまうとどのような事が起きるのでしょうか。
一般的な所では、主に消化器系のトラブルが増加すると言われています。口腔カンジダ症や味覚異常、歯周病、その他には海洋性大腸炎やクローン病との関係も明らかとなっています。消化器系に限らず、アレルギーや全身に渡る炎症性疾患の多くに関与しているとまで言われていますから、真菌類(特にカンジダ)を体内で不要に増殖させないように対策することは、極めて重要と言えるでしょう。
では、カンジダが私たちの腸内で何故そのようにして異常に増殖してしまうのでしょうか。その具体的なメカニズムについてはまだ明らかとなっていない部分もありますが、現在の有力な説となっているものは「高炭水化物の食生活」や「糖の摂取が多い」こと、そして「日常的に小麦を使用したものを食べている」ことが挙げられます。
カンジダに関しては、小麦という点でリーキーガット症候群との因果関係が強く疑われているのです。基本的に、カンジダの餌となるのはブドウ糖ですから、ブドウ糖の元になる糖分の摂取量が多ければ、それだけ腸内で"カンジダ菌が過剰に増殖する"ことは間違いありません。
真菌の増殖は免疫力の低下が原因であると言われることもありますが、これまでに分かっている事実からは、むしろ「日常的に、どのようなものを食べているのか」という事によって、コントロールされている可能性の高い事が分かります。食生活と病に繋がりがあることは多くの方が既にご存じの通りですが、どのような食生活が病に関与しているのか、現代に合わせた新しい目線で踏み込んでみる必要があるのかもしれません。
カンジダが乳酸菌と連携し、免疫力向上に一役買っているという事実がある論文によって公開されています。現代では、カンジダは病の原因として駆除することが推奨される事も多いのですが、実際には"腸内細菌と同じく、共生を行っている"という事実もあります。
カンジダが異常増殖する原因は前述の通りですが、小腸のPhの変化によって、無害な酵母型から菌糸型に変化することが、様々な不調を生みだす原因であるというポイントも押さえておきたい所です。これに関しても、食生活に起因することが分かっていますので、やはりカンジダに関する異常を防ぐためには"体に取り入れるもの"を意識的に変えていく必要があるのは間違いないと言えます。
近年、食生活と様々な疾病との因果関係に関して、様々な説が登場するようになりました。それら全てにエビデンスと言えるデータがあるとは言えないものの、食事のコントロールをすることで統合失調症やADHD、アルツハイマーなどを治療する医師の活躍もあり、見逃せなくなっていることも確かだと言えるでしょう。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |