月刊情報誌の「日経トレンディ」誌が1987年から毎年公表している「2017年にヒットする予測ベスト30」の予想第1位になったのは「ノールックAI家電」です。
「ノールックAI家電」とは、どのような商品か、その概要とその商品によって生活がどのように変化するのか、および医療の世界にどのように関わってくるのかについてご紹介します。
ノールックAI家電とは、日経トレンディ誌によると「買い物から操作まで、声でできるようになる家電製品」です。
2017年は家電製品や情報端末のスマホなどにAI(人工知能)が搭載され、家電製品やスマホ操作が声だけでボタンを操作する必要もなくいろいろできるようになっていきます。
たとえば、スマホであればメールが入ると自動的に読み上げたり、スケジュールを入れておくと当日の朝にはスケジュールを自動的に読み上げてくれたりします。
また、エアコンであれば、「電源を入れて」と具体的・直接的にしたいことを言わなくても、「暑いね」とつぶやくだけで電源が入ります。あるいは、利用者が電源が入れる温度などの条件を学習して、その条件になると自動的に電源が入るようにもなるでしょう。
ノールックAI家電が普及・進化することで、音声だけで操作ができるようになりリモコン操作よりもはるかに便利です。また、自分が望む操作を人工知能が先読みして勝手に動作を開始してくれるようになるでしょう。
これにより手間が省けたり、やらなければならないことを確実に気づかせてくれたりする生活ができます。
すでに、現在でもノールックAI家電といえる商品が販売されています。具体的にはシャープの「ロボホン」とソニーの「Xperia Ear」が代表的なノールックAI家電です。それぞれの製品の簡単な特徴は以下の通りです。
・ロボホン ロボホンは、ロボット型携帯電話で、電話として利用できることはもちろん、会話、ダンス、歩行などができる多機能な商品です。また、顔を認識して持ち主、その友人などを見分けます。 その他にも、例えば旅先で立ち止まると自動で撮影するなどの紹介しきれないほどの機能を備えています。 スケジュールや買い物リスト、友人・知人・家族の誕生日や約束事なども覚えて知らせくれるなどちょっとした秘書の役割をも果たします。
・Xperia Ear Xperia Earは、メールなどを受け取るとスマホの画面を操作する必要がありますが、その操作を不要にしてくれる商品です。返信も音声で可能です。電話の発信も名前を読み上げるだけで電話番号を検索し自動で発信させられます。 商品名に「Ear」とつくようにイヤホンを耳に入れて使用します。スマホとはBluetoothによるワイヤレス接続なのでイヤホンケーブルによる使用上の煩わしさはありません。重量はわずか6.6gなので違和感なく利用できます。
ノールックAI家電の主要技術は音声認識と人工知能(AI)です。人工知能はすでに医療の世界で大きな成果を上げています。IBMの「Watson」が、医師の診断で治療を受けていたものの効果がなかった患者の特殊な白血病の病名を10分ほどで診断し、その命を救ったことがニュースで大きな話題を呼びました。
ジャストシステムが行った一般人へのアンケート調査によると、病院での不満の1位は「待ち時間」で2位が「診断の納得感」でした。
診断の納得感に対する不満とは、あまり症状を聞かずに診断を簡単にされたという不満です。人工知能による診断は賛成かが同じ調査で行われていますが、約4割が賛成と答えています。その理由として、「待ち時間が緩和されそう」「診断の根拠が明確で結果に納得できそう」「治療にかかる時間的コストが改善されそう」と約半数(複数)が述べています。そして医療の世界で人工知能が医師を支援するようになると約半数が予想をしています。
医療の世界に関係なく人工知能は生活のあらゆる場面で利用されていくようになることは確実です。この調査結果を見る限りでは、医療分野ではもっと急いだ方がよいと思われます。
音声認識技術も発達し、静かな環境では満足のいくレベルにきています。今後は雑音のある環境での認識率向上と多言語対応です。音声認識と同様に音声合成も重要な技術ですが、こちらも聞き苦しくなく自然な発声のレベルにすでになっています。
2017年のヒット予測「ノールックAI家電」についての説明と具体的な商品の解説、および、医療分野における応用状況や意外にノールックAI家電の人工知能部分が患者に期待されていることを紹介しました。
医療分野でも本格的に導入される日も、そう遠くないでしょう。