忙しい医師はこれまでずっと仕事一筋で生活してきた方も多いことでしょう。もし、大切な家族に介護が必要となったとき...あなたならどうしますか?
医師としての仕事を優先する、仕事の量を減らして家族の介護に力を注ぐなど、人によって選択は様々でしょう。今回は「医師の仕事と介護の両立」をテーマとします。
親や家族の介護が必要な状態となったとき、他に人手があれば時々様子を見にいく程度で良いと考える人もいるでしょう。人によっては、仕事が忙しくてもできるだけ一緒にいてあげたい、介護に力を注ぎたいという価値観を持っている場合もあります。
医師の場合はなかなか仕事で手を抜けず、定時になったら即退勤というわけにもいきません。特有の勤務形態があり、求められることも多いため、どうしても仕事優先になってしまいがちです。仕事を優先せざるを得ず、年老いた親の最期にも立ち会うことができなかったというケースも見受けられます。
もちろん親としては子供が一流のプロフェッショナルとして社会で活躍していてくれるのなら嬉しいものです。いざ親を始めとする身内で介護が必要になったとき、急な出来事にはなかなか対応できないかもしれません。
いざその時がきたら、自分がどういう行動をとるのかは日頃から頭の片隅に置いてイメージしておくことが良いでしょう。
医師として働く場合、病院によって勤務のスタイルは様々です。どうしても医師の仕事は不規則になってしまいがちですが、中には交代制の勤務を導入していることもあります。
交代制の勤務が可能であれば、夜勤明けの日にそのまま帰宅し、朝から夕方までの時間を家族と一緒に過ごすことができます。もちろん日中は睡眠・仮眠をとることも必要ですが、家族と同じ空間で過ごすことを優先する場合には有効なスタイルとなります。
外来のみの非常勤勤務などに切り替えるという方法もありますが、交代制勤務を取り入れている病院であれば家族と過ごす時間を捻出できるでしょう。
医師が仕事と介護を両立することはハードであり、毎日介護に注力することは難しいかもしれません。ただ、勤務のスタイルを検討することでこれまでとは違った形で仕事と介護を両立することができるでしょう。
民間企業・法人に勤める人の介護休業制度は、育児・介護休業法によって定められています。法律で決まっていることなので、勤務先の規則に書かれていなくても本来は利用できます。
しかし、実際には急に欠員が出ると業務への影響が大きいことから、なかなかこの制度は利用されていないことも多いです。育休などは実績としてアピールする施設もあり、女性に関しては徐々に取得しやすくなってきているようです。ただ、介護休暇に関してはなかなか普及していないことが現状です。
こちらも法的には取得可能ですが、育児のように母親が中心となって行うといった明確な役割分担がないため、誰が介護を行うのかはその家のスタイルにより異なります。
その家に嫁いだ女性が行う場合もあれば、兄弟が行う場合もあります。そうしたことから「絶対に自分がやらなければならない」という状況に必ずしも置かれるわけではなく、なかなか介護のための休暇は取得しにくいのでしょう。
医師が仕事と介護を両立するには、まずどんな価値観を持っているのかが問われてきます。
家族を養うためにも仕事を優先したい、仕事はそこそこに家族と少しでも一緒に過ごしたいなど人によって考え方は十人十色です。医師として働く上でも交代制勤務や非常勤といった選択肢があることは念頭に置いておきましょう。