和歌山県御坊市が行った調査で、在宅医療・介護に対する意識が明らかとなりました。この調査では、在宅介護を希望する人が多い半面、家族への負担などを懸念する人が多いことも浮き彫りになりました。
今回は在宅医療・介護のあり方について取り上げていきます。
和歌山県御坊市が実施した調査では、30〜80歳未満の1500人を対象として、在宅医療・介護に関するアンケートの回答が得られました。この調査では、「介護が必要になったときにどこで生活をしたいか」という質問に対し、「自宅」と答えた人の割合が42.3%を占めました。老人ホーム等の施設(26.1%)、病院・医療機関(10.9%)を上回り、自宅で介護を受けたいと思う人が最も多い結果となりました。住み慣れた環境で暮らすことは多くの人が希望することといえます。
その一方、在宅医療・介護を受ける上で家族への負担を気にする人が7割以上にもなりました。次いで、経済的な負担を心配する人も68.6%と高い水準になっています。在宅で医療・介護を受けながら老後の生活をしたいと考える一方で、家族への負担や経済面での心配も尽きないようです。
在宅医療・介護を行う上で、実際に家族にはどのような負担がかかるのでしょうか。家族への負担は「精神的な負担」「時間的な負担」「肉体的な負担」の3つに分けることができます。
まず、精神的な負担としては、介護する親の物忘れが激しく、何度も同じことを言うのに対応しなければならないことなどが挙げられます。こうした精神的な負担は長期的に蓄積すると大きなものとなってしまうでしょう。また、介護に時間がとられてしまうため、自分に使える時間がなくなるといった時間的な負担もあります。
そして、要介護者の体を動かすことには肉体的な負担も伴い、介護をする側には腰痛や疲労が生じるリスクがあります。
多くの人が在宅で医療・介護を受けたいと思う半面、こうした負担が生じることも事実なのです。介護に当たることができる家族が複数いる場合には負担も分散できますが、一部の人に負担がかかってしまうケースも少なくありません。
在宅医療・介護では、慣れ親しんだ環境で過ごすことができる半面、家族への負担が重くのしかかってしまいます。在宅医療・介護を希望する人の中には、週に1日のデイサービスで入浴の介助などを受けることすら嫌に感じられる方もいるでしょう。
しかし、介護する人が倒れてしまっては元も子もありません。親子で相談し、デイサービスやヘルパーの利用を視野に入れ、在宅を基盤としながらも可能な限り負担を分散させていくようにすることが望ましいでしょう。そうすることで時間的・肉体的な負担は軽減されます。
親が認知症になったり、介護度が重くなると介護者は精神的にも負担に感じてしまいます。そんなときは自分が幼い頃のことを考え、親がオムツを替えてくれ、背中を洗ってくれていたところ、今度は逆に「自分が親に同じことをしてあげるだけ」というスタンスでいると気が楽になるでしょう。
人間は20歳をピークに様々な機能が衰えていきますが、高齢になって介護が必要になることも自然な現象といえます。精神的な負担は、自分の物事の捉え方や考え方によっても軽くなる可能性があります。
見知らぬ人に介護をしてもらうよりも、住み慣れた自宅で家族の支えを得ながら生きていきたいというのが多くの人の気持ちでしょう。
ただ、在宅医療・介護の負担は大きく、限界を感じる人も多いです。負担を背負い込まずに分散させていくことが重要となるでしょう。