医師のメンタルヘルスは過酷な業務によっておびやかされています。
メンタルヘルスに不調を来す医師も多く、ストレスをマネジメントしていく方法を考えることは必須となります。 今回は医師のメンタルヘルスに焦点を当てていきます。
現代社会において「うつ病」にかかる人が増えてきていますが、医師の世界においても例外ではありません。医師は多忙な業務で心身ともにストレスが積み重なりますが、時には患者から不満や暴言を浴びることもあります。
さらに、医療ミスや医療訴訟のリスクと常に隣り合わせで、常に心身が緊張状態にあることになります。
従事する業務全般において責任が問われ、ミスが許されないことから、非常に強いストレスがかかってしまうのです。
医師は医療機関でリーダーシップを発揮し、頼られる存在でなくてはなりません。そうした環境の中で、メンタルヘルスに不調が生じても、自ら「SOSのサイン」を出しにくいことが特徴です。
医師は"優秀で万能な人が多い"という印象を持っている方も多いですが、どんなに優秀でも同じ人間です。医師特有のストレスが積み重なり、メンタルヘルスに不調を来す人というのは意外と多いことが現状です。
医者の不養生という言葉もありますが、精神科医でさえメンタルヘルスに不調が生じ、うつ病になる人もいます。
精神科に長く勤務し、メンタルヘルスに関する知識を有していても「うつ病」にかかってしまうことがあるのです。
研修医の業務はハードであり、心身ともに疲労困憊する人が多いのです。
2008年に筑波大学の前野哲博教授らが発表した研究の中でも、研修を開始して2カ月後に抑うつ状態を呈した人は、全体の25.2%であったと報告しています。
また、前野教授は論文の中で、研修医は常に指導医に方針を決めてもらいながら業務に当たるため、自分の裁量でできる範囲が限られており、達成感が得られないことが特徴だと述べています。
指導に当たる医師は、業務に支障が出ない範囲である程度研修医の判断に一任し、その人の裁量でできる仕事や役割を提供することが必要となるでしょう。
さらに、研修医・若手医師は一人前になるまでにかかるストレスが大きく、それでも同僚や患者の前では「いい人」を演じなければならないことが負担になってしまう傾向にあるのです。
研修医の立場としてできるストレスマネジメント法は、「自分はこんなこともまともにできない」と捉えるのではなく、「初めのうちはみんな同じで、できなくて当たり前」と、いい意味で気楽に考えることが重要です。
自分の認知を変えて行動に当たることは、精神科の診療の中でも「認知行動療法」の枠組みで行われますが、身近なところから実践していくことをおすすめします。
2006年のKaneitaらの研究によると、睡眠時間が7時間を下回ると抑うつ度が高まると報告しています。
業務が多忙でも睡眠時間が短ければ、仕事後の飲み会を遠慮してしまう、あるいは帰宅後の食事や入浴などを効率的に済ませて、早めに就寝するなど工夫をすることで、ストレスのマネジメントに寄与するでしょう。
また、先に述べた研修医の心構えとも共通しますが、ベテランの医師でも物事の捉え方を少し変えてみるということが有効です。
医師の多くは幼いころより周囲から"優秀"と思われてくる人が多いです。自分をよく見せようとすると心身ともに消耗していきます。
周囲の期待に応えようとすると頑張りすぎてしまい、燃え尽きにつながっていくのです。あまり人の評価や見返りを期待してそれに左右されず、自分で自分を認め、褒めてあげることが大切です。
医師ではその業務内容から特有のストレスも多いです。
頑張りすぎは禁物で、いい意味で気楽に仕事に当たることをおすすめします。睡眠時間が短い人もハイリスクとなるため、うつ病の予防という観点からストレスや生活をマネジメントしていくことが重要になります。
![]() |
近年急増する"モンスターペイシェント"の存在を、心のどこかで気にしながら臨床業務に当たっている医師も少なくないのではないでしょうか。 稀に遭遇するモラルがない患者の対応をすると疲弊してしまうものですが、この記事でご紹介するポイントを参考に対応していきましょう。 |
![]() |
健康状態大丈夫?「医者の不養生」を引き起こすには理由があった 昔から医者の不養生という言葉が用いられ、医師は自分の健康にはあまり注意しないといわれています。 医者が不養生を引き起こす背景には様々な要素があると考えられますが、勤務医の健康状態は悪い状態になっていることもめずらしくありません。 医者が不養生を引き起こす原因について探っていきましょう。 |
![]() |
近年、様々な健康グッズが考案され、店頭やインターネット通販にて販売されるようになりました。 今回は、医師が体への負担を軽くするために役立つおすすめの健康グッズをご紹介していきます。毎日の業務は気力と体力の勝負になりますが、少しでも負担を減らせるようなアイテムを活用してみてはいかがでしょうか。 |