昔から医者の不養生という言葉が用いられ、医師は自分の健康にはあまり注意しないといわれています。
医者が不養生を引き起こす背景には様々な要素があると考えられますが、勤務医の健康状態は悪い状態になっていることもめずらしくありません。
医者が不養生を引き起こす原因について探っていきましょう。
医者が不養生に陥る理由の一つ目には、多忙すぎて健康管理に気を配る余裕がないことが挙げられるでしょう。
多くの医師は勤務時間が長くなりがちで、さらに当直や呼び出しもある病院だと体力的にもハードになります。睡眠不足になったり、食事を簡易的に済ませるようになったりと、基本的な生活習慣に気を配れないという事態に陥りがちです。
毎日ハードな業務をこなしていると、自分の健康管理も完璧に行えるという人は少ないのではないでしょうか? なかなかハードな仕事と健康的な生活を両立することは難しく、多くの人は後者で手を抜いてしまいがちです。
食事の用意を始めとした身の回りのことをサポートしてくれるパートナーがいる場合には、基本的な生活習慣は乱れないかもしれませんが、それでも睡眠時間は不規則になってしまいがちです。
仕事が終わると自分のケアに注意を向けるというよりは、翌日に備えて体力や気力を回復させるために寝るというスタイルをとっている医師も多いのではないでしょうか。
医師の健康管理が疎かになる背景としては、まず多忙さが挙げられると考えられますので、特に勤務医の健康状態は良くないと言われがちです。
医師をはじめとする医療従事者特有のポイントとしては、医療という限られた世界の中で「どこの◯◯先生」というようにお互いに認識できてしまうことが多い点です。
そのため、医療機関への受診になんとなく抵抗感が生じる人も多いのです。特に、出身大学のある都道府県内で働いていれば、同じ大学出身の同期や先輩・後輩などといった繋がりもあり、すぐにどこの誰かがわかってしまうということも起こり得ます。
また、医師だけでなく看護師の知り合いに会うことも多いので、知っている医師や看護師がいるかもしれないと思えば、受診するのに気がひけるということもあるでしょう。
特に自分の病院で診察を受けると守秘義務が通用しなくなるため、プライバシーが守れないことが実情です。
いくら個人情報といっても、病院の中だと診察中にスタッフが目にすることもありますし、カルテを見ればわかってしまう情報もたくさんあります。病院という環境上やむを得ませんが、そういった特有の事情から医師はなかなか受診しにくい状況といえるため、勤務医の健康状態は悪化しがちということもめずらしくありません。
医師が医師を診察するというのは、やはりやりにくいものがあるでしょう。
診察する方も同業種のプロを相手に行うわけですから多少なりとも気が引き締まりますし、診察を受ける方もなんとなく恥ずかしい気持ちが生じることもあります。
医師であれば健康に関する知識は身につけているので、自分で考えて対応することも可能ですが、検査や定期的な処置を全て自分で行うことは難しいです。
したがって、できれば他の医師に診察をしてもらって自分の健康管理を客観的に行っていくことが望ましいですが、医師同士ではなかなか率直にコメントしにくいというところもあるようです。特にベテランになればなるほど、若い医師に診察してもらうことには気が引けますし、診察をする医師にしてみてもコメントやアドバイスをしにくくなるでしょう。
医師という職業でありながら治療を受けることには抵抗感を覚える場合が多いようです。
医師の不養生という言葉の背景には、単純に医師が自分の健康管理を怠っているということだけではなく、他に医師特有の様々な事情があってのことです。
しかし、時すでに遅しという事態を招かないよう、自分の健康管理もしっかりと行っていくことが望ましいでしょう。
特に、勤務医の方は要注意ですね。