医師の子供は医師...ということが少なくないことは、医学部で学生時代を過ごした方であれば実感できるのではないでしょうか。
医師の子供に対する教育方針はどうするのが良いのでしょうか。医師が子育てをする上で知っておきたい「子供の教育のポイント」についてご紹介していきます。
知能や性格は、「遺伝」と「環境」の影響を受けることが知られています。遺伝と環境に関しては世界中で様々な研究が行われてきました。
一卵性双生児を対象として、遺伝と環境がどのように子供の行動や特徴に影響を及ぼしているか調査されています。知能に関しては、およそ60%が遺伝の影響、40%が環境の影響という見方もあり、遺伝と環境の両方が作用することが伺えます。
医学部に入学できる人の多くは幼少期から秀才であることが大半ですが、遺伝的な影響も大きいといえるでしょう。
さらに、医師の子供では私立幼稚園・小学校を受験して入学することも多いですが、教育や習い事にお金をかけることも多い傾向にあります。もともと持って生まれた「遺伝的な要因」のほか、そうした「環境的な要因」も作用して子供の知能が高まっていくといえます。
医師という仕事をしていると、将来自分の子供にも医師になってほしいと望む方が多いです。
開業医として勤務をしている場合には、後継として子供を医師にしたいと考える方もいます。そのために教育費も惜しまず、何度も浪人しても予備校に通わせたり、子供が私立の医学部に行きたいといっても多額の費用をかけることを選ぶ方が多いです。
子供を医師にしたいという強い願望が親にない場合でも、少なくとも「優秀であってほしい」と考える方が多いことが実情です。
子供に苦労はさせたくないため、しっかりと教育して一流の大学に行ってほしいと思うのは親心ともいえますが、行き過ぎた教育は「教育虐待」ともいわれます。
高所得の家庭の子供では、中流の子供と比べて学業に関してストレスを感じやすいとの報告も出ています。無意識のうちに子供の教育に対してプレッシャーをかけすぎ、教育虐待となってしまわないよう注意したいところです。
医師として仕事をしていると、ついつい子供に「将来は医学部に行け」というメッセージを発信してしまいがちです。もちろん教育をしっかりと受けた子供はその分だけ選択肢も広がっていきますが、子供にとってストレスになるほど強要していないかをモニタリングしていく必要があります。
初めから子供の将来に関して選択肢を限定せず、ある程度子供の意思を尊重し、委ねてあげる姿勢が大切でしょう。
もちろん医師として働く父・母の背中を見て育ち、自ら医師になることを選ぶケースも存在します。どんな場合でも「本人が自分の意思で決断した」という事実が重要になるといえるでしょう。
こうした姿勢は教育だけでなく、将来的には結婚などの決定に関しても同じことがいえます。子供の結婚相手に自分の理想像を押し付けてしまうことなく、子供の判断の委ねる姿勢が大切になります。
子供が親のプレッシャーによって選択権や可能性を潰されてしまうのではなく、自己決定によって歩むべき道を選択していくことが望ましいのです。
そしてどんなときも自分が子供の味方であるというメッセージを何らかの形で発信していくことで、親子の信頼関係の構築に結びついていくでしょう。
医師の子供は教育において何かとプレッシャーを感じやすいです。
無意識のうちに子供を抑圧してしまったり、教育虐待に近いことをしてしまわないよう、改めて意識しておきたいところです。
子供自身の考えや決定をある程度尊重するように心がけて教育に当たりましょう。