病院の相続と再開には様々な問題やトラブルが生じてきます。相続人が自分だけでなく複数人いる場合は話し合いが折り合わずに裁判にまでなってしまうケースもあります。
また、病院のある土地や資産価値の違いによって高額な相続税や贈与税を支払わなければならないこともあるので注意が必要です。
一戸建ての病院(クリニック)の場合、病院が建っている土地と建物はそのまま資産となっていることがほとんどです。相続人以外の方がオーナーとなって賃貸を行う形になれば、複数の相続人がいる場合でも比較的問題なく財産の分配が可能になるでしょう。
しかし、オーナーに任せる形だとその分だけ経費が増えてしまうことになります。また、複数の相続人で土地を分配したのはいいものの、相続人の誰かがその不動産を売りたいといったことになると病院再開や運営に支障が出てきてしまいます。
病院の相続における相談の多くは「相続税対策」「運営継承対策」と言われています。出資持分のある病院を相続させる場合、相続税や贈与税が発生します。出資した当時よりも資産価格が上昇していれば、それだけ多くの相続税・贈与税を支払わなければなりません。
土地によっては評価額が数億になることもあります。土地の価格だけが高くなった結果、納税するお金が足りずに支払えないということになると病院の再開は難しくなってきます。
そうならないためにも病院を相続する場合はできるだけ早めに専門家に依頼し、土地評価額を下げたり、適切な額の贈与税を計算したりと、早め早めに手を打つ必要があります。それこそ数年単位での事前の節税対策が大事です。
相続税申告の代行、不動産の名義書換え代行、裁判の代行などを専門家に依頼すると当然手数料がかかります。いずれも数万、数十万かかるのが普通です。
複数人の相続人がいて財産配分が難しくなる場合やトラブルが多い場合、それだけ手数料も多くなってしまいます。依頼する専門家も弁護士、行政書士、税理士と様々で料金システムもそれぞれに異なります。病院再開にはこうした費用も必要になるということを知っておきましょう。
病院の相続対策は、とにかく早め早めに行うことが賢明です。相続の5年、10年くらい前から節税対策を含めてしっかりと考えていかなければなりません。また、親族間の裁判やトラブルが起こった場合もやはり5年、10年と長引くことが多いです。
相続人との話し合いと専門家の意見を参考にしながら、税対策・運営承継対策を行なって病院再開の目途を図っていくことになります。