国税庁によると、2017年に仮想通貨などの取引で1億円以上の収入があった人は331人でした。「億り人」は無理としても、興味本位で持っていた仮想通貨が知らない間に値上がりし、気がつけば結構な利益に、という方もいるのではないでしょうか?さて、この利益には税金がかかりますが、職場にバレずに納税をすませる方法はあるのでしょうか。
仮想通貨で得た利益は雑所得となります。確定申告をする必要があるのは、開業医など自営の場合、給与所得者で副収入が20万円を超える場合、給与所得が2,000万円を超える場合、複数の職場から一定の給与収入がある場合などとなります。
税率は住民税が一律10パーセント、所得税が5パーセントから45パーセントで、所得税率は総所得が多いほど高くなります。勤務医で仮想通貨やその他の副収入の総額が20万円以下の場合、所得税のための確定申告は不要です。しかし、住民税の課税対象にはなりますので、市区町村には必ず申告しなければなりません。
課税対象となるのは、仮想通貨の利益が確定したときです。たとえば、値上がりした仮想通貨を売却したり、他の仮想通貨と交換したり、あるいは値上がりした仮想通貨で何かを買ったりといった場合です。利益があっても、含み益の状態では課税対象になりません。
取引所で売却や交換をした場合は、取引記録が残るため、年間の取引記録をもとに申告することができます。しかし、値上がり益で時計やスーツなどを購入した場合は、レシートを保管しておかなければなりません。あまりに頻繁に売買や交換をしたため利益の計算が複雑だという人は、税理士に相談するか、オンラインの有料・無料の計算ツールを利用するのがよいでしょう。
医師は職業柄、信頼や評判はとても大切です。うっかりして申告漏れや脱税という事態にならないよう、しっかりと申告を行いましょう。
さて、確定申告はきちんと済ませたので一安心というわけではありません。開業医であればそれで問題ありませんが、勤務医の場合、住民税が給与天引きされるため、職場に副収入がバレてしまう恐れがあります。
仮想通貨の税金を職場に秘密にしたいというのには、それなりの理由があります。たとえば、職場の就業規則で副業が禁止となっている場合、仮想通貨の取引でそれなりの利益がでると、副業と判断されてしまう可能性があるからです。
一般論としては、株やFX取引が副業とみなされないように、仮想通貨の取引も問題ないケースがほとんどでしょう。ただ、判断は職場によりますので、慎重を期して職場にバレない方が安全です。それに、仮想通貨取引そのものは問題ないとしても、勤務時間中にスマホで取引をしたり、職場のコンピューターでチャートを見ていたりすると、懲罰の対象となってしまう可能性があります。
さて、住民税に話を戻しましょう。住民税は前年度の所得をもとに計算されます。市区町村に所得を申告すると、仮想通貨の利益も合算されて翌年度の住民税が決定されます。そして、職場に毎月の天引き額が通知されるのです。そうなると、職場の経理担当者は給与以外の副収入に気がついてしまいます。
これを防ぐには、市区町村に仮想通貨による利益を申告する際に、住民税の普通徴収を希望する旨、届けるとよいでしょう。普通徴収の場合、自分で納税を行うため、職場に住民税天引きの通知がされません。その代わり納税を忘れないように注意しましょう。
では万が一、普通徴収の届け出を忘れて、職場に副収入の税金がバレてしまったらどうなるでしょうか。金額が大きくなければ、それほど大きな問題にはならないと考えられます。そもそも、職場には住民税の天引き額が通知されるだけで、それが仮想通貨の利益だとはわかりません。
仮想通貨による利益は雑所得となり、住民税と所得税の対象となります。一定の条件内であれば、所得税の申告は不要ですが、住民税はかかるため市区町村への申告は必要です。職場に仮想通貨による利益を知られたくない場合は、市区町村への申告時に普通徴収を希望するようにしましょう。
万が一、職場に雑所得があることがバレてしまっても、それが仮想通貨で出た利益だということは分かりません。