日経トレンディが発表した2017年のヒット予測にもランクインした「民旅(みんたび)」。その言葉からはどのようなサービスなのか見当がつかない方も多いでしょう。
今回は、新しい旅のスタイルとして流行の兆しがある民旅についてご紹介していきます。
「民旅」とは、旅行代理店のツアーコンダクターではなく、地元のユーザーが他のユーザーにその街の魅力を案内するという考え方に基づいた新しいサービスです。
これまで地元民しか知らなかったような、ニッチだけれど魅力的なスポットを案内できるとして注目されています。確かに観光客向けのスポットと、実際に地元民がよく出入りし愛するスポットには大きな違いがあることも多いです。
地元に根ざした魅力溢れるスポットを紹介してくれるサービスが民旅です。外国人が訪れてくるインバウンドの需要も高まっているため、多様なニーズに応じることができる新しいサービスとして期待が高まっています。
民泊を手がけてきた会社、エアビーアンドビーはすでに民旅の実現に向けて布石を打っています。一般のユーザーが街を個人で案内する「ガイドブック」という機能を作りました。
個人が個人を案内するというスタイルはすでに始まりつつあるのです。
確かに、旅行会社の現地ツアーなどはありふれた内容が多く、何度も訪れているところであれば定番すぎて飽きてしまったという方も多いでしょう。自分の目的に合ったちょっと変化球の観光案内をしてほしいというユーザーには、民旅のような仕組みがぴったりです。
近年はクラウドソーシングサービスの普及により、在宅のデザイナーやプログラマー、ライターなどの仕事が増加しました。社会に眠っている労働資源を活用していくスタイルが流行するようになってきていますが、民旅に関しても同様のことがいえるでしょう。
インターネットやアプリの普及により、知識や経験、能力を持った人材にアクセスしやすくなりました。こうした人的資源を効率的に活用するアイディアの一つが民旅なのです。
民旅では、地元民が個人で観光案内をすることによって、例えばアニメや漫画、ナイトライフ、グルメなどその人の個性を生かした案内ができることが魅力です。
個人のレベルであっても、アニメに精通している、日本製の家電について詳しいなど個性や特技を生かしたサービスが展開できるでしょう。むしろ、旅行会社の添乗員がマニュアルに沿って解説するよりも、その土地のリアルな姿を感じとることができる可能性を秘めています。
民旅のビジネスモデルとしては、仲介する会社が手数料を一部とり、依頼者から支払われた残りの費用は、実際の案内人に支払われるようになるようなスタイルになることが検討されています。つまり、観光案内はボランティアではなく、副業としても注目を集める可能性があります。
実際、副業をしたいと思っている人は多く、副業に関わる書籍なども多く出版されています。そうした需要も取り込んだ新しいビジネスが民旅なのです。
もちろん、ユーザーの安全を守るために、案内人の仕事をするための身元確認などのプロセスは必要になってくるといえますが、そうした課題がクリアできれば画期的なビジネスとして成立するでしょう。利用者にとっても、案内人にとっても、仲介する企業にとってもWin-Winな関係が築かれるようなモデルになることが期待されます。
民旅が本格的に導入されれば、今後の旅行のあり方は大きく変わっていくことでしょう。旅行業界へ与えるインパクトは大きいものとなります。
また、民旅のシステムによってサラリーマンや専業主婦が空いた時間に観光客を案内するなど副業としても注目を集めるでしょう。