激務といわれる医師の仕事ですが、たまにはそんな激務から離れてリフレッシュしたいと思うものです。
温泉などにつかって日頃の疲れを癒やしたいなど、ささやかな願望を抱くことさえ罪に思えるような、そんな劣悪な環境に置かれている医師にとって、本当に「旅行にいく」ということは不可能なのでしょうか?
医師の仕事は激務です。中でも勤務医は休みがないと言っても過言ではないのが現状です。実際に勤務医に調査したところ、最近1カ月での休日が4日以下である者が約45パーセントで、休日なしという答えが9パーセントにも上っています。
医師のほとんどの方が「そんなもんだろう」と思われることでしょうが、実際には激務であることに変わりはありません。勤務医の場合、通常の外来時間以外にも手術や学会関連のお手伝い、当直や救急外来など休む暇どころか、"食事をとる時間"さえもないくらいに働き詰めの日々なのです。
そんな状況で他の医師に業務を押しつけて自分は旅行に行くなんて、そんな余裕などないという勤務医の医師がほとんどです。
その点、開業医であれば多少の融通は利きます。自分の采配で休診日を決めることが可能なので、前後の仕事さえうまく割り振れば、休みを取り旅行に出かけることは可能です。
しかし、患者さんを長期間ほったらかしにはできないので、やはり長期休暇を取ることは難しいのが現状です。
勤務医は長期の休みを取ることは不可能なのでしょうか?
勤務医が休みを取ることができるかどうかは「病院の体制」にかかっているといえます。例えば、大きな病院や大学病院などでは、当直制かグループ制か主治医制かによって忙しさが左右されます。
医師の数が多い病院ではシフト調整などで休みを取ることも可能です。
医師が休みを取れない一番の原因は、圧倒的な「マンパワー不足」です。医師が不足している病院では、一人ひとりの医師に対しての負担が大きく、精神的・肉体的に疲弊してしまい、医師を辞めてしまう方すらいます。
また、縦割り組織の医学界では特に若い医師への負担は大きく、その仕事量の多さに、せっかく医師になっても早々に退職や転職をする方も増えています。
こうした悪循環を打開し、多くの医師が"休みを取るという当たり前の行為"を気兼ねなく行えるようにするためにも、病院側の体制を改善する必要性があります。
医者といえば「高年収」のイメージを持たれていますが、命と向き合い長時間の勤務をしているのですから、給料が高くなるのも当然と言えます。
さらに医師はお金はあっても時間が足りないという、なんとも皮肉な状況に置かれています。
ただ、開業医であれば事前に患者さんに休診日を案内し、スケジュールを調整することである程度の休みを取ることは可能です。また、勤務医であれば病院側の勤務体制が整い、うまくシフト調整ができれば連休を取ることも可能になります。
ただ、患者の急な容体の悪化や、病院からの急な呼び出しがあったりもするので、やはり海外旅行は難しいかもしれません。 そういった意味でも安・近・短の国内旅行を選ぶ医師も多いでしょう。
近場の温泉などで日頃の激務から解放され、家族や友人と過ごすプライベートの時間はリフレッシュできる貴重な時間になります。
本来、命に向き合う医師が自分自身の命を粗末にするような状況にあってはならないのです。
しかし、実際にはその過酷な勤務実態により心身ともに疲弊している医師が多く、医療過誤などにつながる「マイナス要因」となってしまっています。 医師が休暇を取ることは現実的には難しいかもしれませんが、たまには思い切って休みを取って旅行に行ってリフレッシュしてください。
医師が健全な心と体でいることで、患者に対して最高の医療パフォーマンスを提供することができるはずです。