「笑いは人の薬」ということわざがあります。笑うことは心と体の健康のために役立つ、という意味ですが、そのことは医学的にも証明されています。その笑いを病院にいる患者さんたちに届ける、ホスピタルクラウンについてきいたことがあるかもしれません。その始祖「パッチ・アダムス」をご存知でしょうか?
パッチ・アダムスとは、本名「ハンター・キャンベル・アダムス」というアメリカの医師で、映画「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリ」のモデルとなった人物です。入院中の患者さんや子どもたちの心を、遊びやコミュニケーションを通じてケアする活動、ホスピタルクラウン、クリニクラウン(日本語では臨床道化師と呼ばれている)活動の先駆者です。
現在も世界中で活動しており、講演活動も行なっています。日本にも講演のために来日しています。
16歳のときに父親や親愛していた伯父との死の別れ、学校でのいじめや社会問題に絶望し、自殺未遂を繰り返し、精神病院に入院することになります。入院中に出会った友人を通して、「笑い」が人の心と体の病を癒やすことに気づき医師になることを決意します。退院後、医学について学び1977年に医学学士号を取得します。
1年間の小児科研修を経て、「愛とユーモアを根底に、人に優しい医療」という自分の目指す医療を無料で行う病院「ゲズントハイト・インスティテュート」を設立しました。そこで「愛とユーモア、医師と患者との友情」を取り入れた診療を行い、のべ15万人以上にも及ぶ患者のケアにあたりました。
日本に講演のため来日した際に、パッチ・アダムス本人が「7つの信条」について述べています。その中でも1番目の信条「ひとをケアする理由はただひとつ。人間を愛しているからです」という言葉に、彼の活動の根底にあるものを見ることができます。
人への「愛」です。7つの信条の中にも示されていますが、「愛」という感情は人を行動へと促し、思いやりや親切を示すことに繋がります。愛を根底に行動するとき、人は平和や安らぎを得、自分自身にも良い効果があるのです。
ホスピタルクラウンの始祖「パッチ・アダムス」について取り上げました。自身の経験から笑いの効果を治癒に生かそうと考え始めた活動が、今や世界中に広がっています。強い薬は副作用が心配されますが「笑い」は副作用のない薬で、だれでも手に入れることができます。その「薬」に目を留めたパッチ・アダムス。彼をモデルにした映画も是非ご覧ください。