禁煙や分煙が叫ばれる中、受動喫煙を嫌がる人も増えてきました。
これまでも、厚生労働省が出した受動喫煙対策をめぐって、各団体から意見書が提出されるなどして議論が続けられてきました。
今回は、受動喫煙対策の法案が、最終的にどんな法案となる見込みなのか解説していきます。
厚生労働省が出した受動喫煙対策の法案では、飲食店で原則禁煙とすることを目指していました。特に、未成年の子供や家族連れが訪れる場所での受動喫煙対策に力を入れていく方針だったのです。
ただ、酒類を提供する小規模な飲食店からの猛反発があり、小さな飲食店に限ってそうした対策の「例外」とする方針を定めました。
しかし、その後医師らの団体を中心として、「例外」を認めることに対する反発が生じ、肺がん患者会、学術・医療関係の団体などを含める150団体が「例外なき禁煙」を求めて要望書を提出したのです。
飲食店などの施設としては全面禁煙にすることで収益が落ちるのではないかとの懸念がありますが、例外を設定することは本質的な受動喫煙防止にならないとの声が多数上がっていたのです。
それぞれの立場で主張が食い違っており、どういった法案になるのかが注目されていました。
医師の団体などが出した「例外」を認めない要望書によって、すべての飲食店で全面禁煙になるかと思われましたが、条件付きで例外を認める方針になる見込みです。
未成年の人も利用すると想定されるレストラン・ラーメン屋などでは、小規模であっても全面禁煙となります。また、居酒屋や焼き鳥店など酒類を提供する場であっても、子供連れが少なくないため、原則禁煙となるようです。
ただ、未成年の子供が出入りしないと想定されるバーやスナックなどの酒類を提供する飲食店では、「受動喫煙が生じうる」という掲示を行い、さらに"換気を徹底する"などの条件付きで、喫煙を認める方針です。
他にも医療施設や小・中・高校では敷地内が禁煙になり、サービス業施設、ホテル・旅館(客室以外)などの屋内施設では屋内・車内での禁煙が定められる見込みとなっています。
健康志向の高まりから、喫煙する人はどんどん肩身が狭くなる時代になってきました。タバコの臭いを出さないアイコスが普及したり、喫煙できるスペースが少なくなってきたりと対策は講じられています。実際、品薄が続いていたアイコスは2017年半ばにもフル供給できる見込みであると発表されており、ますます受動喫煙対策に各方面で力を入れている様子がうかがえます。
現在、喫煙している医師がいれば、今のうちから禁煙に向けて歩み出すことが得策かもしれません。
また、今回の法案では医療機関の敷地内での喫煙が禁止となります。既に敷地内での禁煙はNGとなっている機関も少なくありませんが、病院の敷地外の細い路地、建物の裏などで職員が喫煙している様子も見受けられます。
こうした事実は思い当たるという医師の方も少なくないことでしょう。特に大きな病院では勤務する人の数も多いため、それだけ喫煙者の人口も多くなりますが、医療従事者が歩道などでタバコを吸っている姿からは当然ながら良い印象を受けないものです。
確かに「敷地外」ではありますが、そうしたルールだけでなく、喫煙者のモラルも同時に問われる時代となるでしょう。
政府が本腰を入れて受動喫煙対策に乗り出したことを受け、これからは喫煙できるスペースがますます限られていくことが予想されます。
アイコスなどのアイテムを活用してみたり、タバコの本数を減らしてみることが得策かもしれません。