看護師とうまく関係性を構築していくことは、医療現場において業務をスムーズに行うためにも欠かせません。 医師と看護師のバトルが起こることもありますが、なぜそうした摩擦が生じるのか、医師として何に気をつければ良いのかを取り上げていきます。
女性医師や男性看護師も増えてきていますが、やはりまだ割合からすると医師には男性、看護師には女性が多いことが実情です。男性と女性ではそもそも脳の構造が違うことはよく知られています。医療現場における医師と看護師の摩擦も、根本的にはこうした背景があるのかもしれません。 男性は論理的思考を得意とする反面、相手の意図を察することが苦手であり、こうした脳については「男性脳」と呼ぶ人もいます。一方、女性の場合はシステマチックに思考するというよりは、感情を読み取る力に長けた「女性脳」を有しています。日本でもベストセラーとなった書籍にアラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著の「話を聞かない男、地図が読めない女」があります。この印象的なタイトルが物語るように、男性と女性では本質的に異なる部分があるのです。 実際に、総合大学の学部や学科を見てみても、理系のコースには男性が多く、文系のコースには女性が多い傾向にあるでしょう。工学部や数学科など理系の中の理系という分野ではほぼ男子学生しかいないということも珍しくありません。幼い子供の遊び方を見ても、男の子は車のおもちゃなどで遊ぶのが好きであるのに対し、女の子ではままごとや着せ替え人形などで遊ぶことを楽しみます。 根本的に男女では脳の構造が違う傾向にあるため、考え方や思考プロセスに違いが生じることも多いです。もちろん考え方などは環境的な要因も作用するため一概には言えませんが、少なくとも根本的な脳の違いがあることは前提としておさえておきましょう。
看護師の不満として最も多いといっても過言ではないものに、「医師が看護師の声を聞き入れない」ということがあります。医師は指示を発信する側であることが多いですが、どんなに優れた人でも人間なので間違うこともあるでしょう。そんなとき互いに補い合うことができるのもチームのメリットなのです。ただ、医師としてリーダーシップを発揮する過程で、医療チームの存在を忘れてしまうことがあるようです。 看護師も欠かすことができないチームの一員なので、しっかりと主張を聞く姿勢が肝心です。身近なところでよくある例としては、夫が妻の話を聞き流していると「ちゃんと聞いて!」と憤慨されることが挙げられます。家庭・職場などどこにいても相手に関係なく、その人が何を主張しているのかは汲み取るようにし、良いと思えば受け入れ、そうでないときも議論をして解決していくことが望ましいでしょう。 医療現場では医師が看護師の提案を受け入れないことで摩擦が生じることもありますが、本当にその提案が最もだと思えば受け入れ、そうでなければなぜ違うのかを相手が納得できるように説明することで建設的な診療ができるのではないでしょうか。
看護師にイライラをぶつけないということも、人間関係を構築する上では必須の事項になります。「自分に限ってそんなことはない」と考えていても、10年、20年と時間が経つにつれて、自分自身を抑制する力が弱まり、性格が変わっていくこともあります。実際、臨床で高齢者と接する機会がある医師は易怒性を呈する患者がいることも実感できるでしょう。 医療現場においても、ベテラン医師が看護師に暴言を吐いたり、物を投げつけるといったケースは存在します。本来は穏やかな性格でも、仕事があまりにも忙しいとストレスが爆発してしまうこともあるのが人間です。睡眠不足に陥ったり、疲労が蓄積すると集中困難になり当たり散らしてしまうこともあるでしょう。そうしたときは自分の行動を客観的に振り返り、仕事量をマネジメントするなどして対処していくことをおすすめします。
まずは男性と女性では考え方に違いがあるということは基本事項として頭の片隅に置いておきましょう。そして、無意識のうちに医師が看護師に暴言を吐いたり、話を聞かなくなるケースも少なくないため、客観的に自分の行動を振り返ることが必要です。