近年、人工知能(AI)が急速に発展してきましたが、医療においてもAIを導入する日がくるのでしょうか。AIが医療で活用されることについては、医師の意見も様々です。
今回は医師を対象としたAIに関するアンケート結果から読み取れることをまとめていきます。
AIが人間の知能を超えてしまう日もそう遠くないといわれており、2045年には人工知能が人間を超えると考える立場もあります。
AIが人間を超えるということはSF映画のように思えますが、研究開発が進められ現実味を帯びてきていることは事実です。GoogleやMicrosoft、Facebookをはじめ、多くの企業でAIの研究に力を入れており、関心の高さが見て取れます。身近なところでもAIを応用した技術に触れる機会は増えてきており、例えばApple製品に搭載されているSiriはパーソナルアシスタントとして使われ、行き先までの道順や天気について尋ねると応答してくれます。
他にもSoftbankの人間ロボット「Pepper」は、店頭で客とやりとりしたり、ロボダンスをしてみせたりなど人を相手に楽しませてくれます。
医師向けサイト「Medpeer」が2016年5月に実施したアンケート調査では、医師3701人に対し「AIが診療に参画する時代が来ると思う」かどうかを尋ねました。医師のうち9割は「来る」と答え、多くの医師が将来的に医療現場にAIが導入されることを予想していました。
AIが医療現場に参画する時期について、20年以内に来ると答えた人は68%と最も多く、近いうちに導入されると考えている医師が多いことが示されました。AIが参画する日が来ると答える医師の意見の中には、既にインターネットを使った検索に頼っている医師もいることや、数値データの解析はコンピュータの方が得意であることに触れられていました。
AIが使われることに肯定的な意見を持つ医師でも、AIが補助的に使われることはあっても、医師・患者間の信頼関係の問題があることについてコメントする人もいました。AIの使われ方や位置付けに関しては今後も慎重な議論が必要ですが、少なくともAIが医療に導入されるということに対しては、"そう遠くない将来のこと"と認識している医師が多い現状にあるようです。
一般の人を対象としたインターネット上のある調査では、26.5%の人が「将来、AIが病気を診断するようになる」と答え、46.5%の人が「医師を支援するものになる」と回答しました。医師だけでなく一般の方から見ても、AIが何らかの形で医療現場に導入されていくことを予想している人は多いようです。
また、6割を超える人が「病院で何らかの不満を感じることがある」と回答しており、その中でも「待ち時間」に関する不満が圧倒的に多い結果となりました。病院やクリニックによっては待ち時間が長く、予約制を採用していても遅れが生じることがあります。
AIの導入により、問診や診断が効率的に行われることで患者が感じるフラストレーションも軽減されていく可能性があります。最終的な判断はAIではなく人間が行うべきと考える人も多いですが、判断に至る過程において簡略化・効率化を図れる部分があれば積極的に導入していくことで、待ち時間の削減やマンパワー不足の解消など解決できる問題もあるでしょう。
近年、目覚ましい発展を遂げるAIは、様々な分野で関心を集めています。医師の多くは近い将来AIが医療に導入されると予想しており、現実に起こることとして認識している人が多いようです。
医療の効率化を図ることは、患者だけでなく医療者にとってもメリットがあるでしょう。
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急速に技術が発展し、AIを様々な分野で応用する動きが出てきました。医療分野においてもAIを活用すべく、様々な取り組みがなされています。 すでに医療においても、これまで医師が行ってきた業務の一部をAIが担うような方向で開発や試験が続けられています。 |