近年「バウリニューアル」が注目されていることをご存知でしょうか。
海外では馴染みがありますが、日本でも節目の時期に行う人が増えてきました。
今回はバウリニューアルとは何か、患者のケアにどう活用できるのかといったアイディアをご紹介していきます。
バウリニューアルとは、英語で「Vow Renewal」と表記し、日本語に訳すと「誓いの更新」となります。
もともとバウリニューアルは欧米の文化として根付いており、結婚記念日をはじめ、家族で迎える節目にセレモニーを行うことで再出発を誓い合うものです。
日本では人生をともにして10年、あるいはそれ以上の長い年月を経た夫婦が、もう一度誓いのセレモニーを行うことで、新たな一歩を踏み出すという選択をするケースが増えてきています。
バウリニューアルの考え方は夫婦での誓いの場面で用いるだけでなく、家族の誕生や還暦祝いなど人生の節目となる様々なシチュエーションで活かすことができるものです。
全ての人の節目となるタイミングを演出するためにサポートしてくれるセレモニーといっても過言ではないでしょう。
バウリニューアルを闘病中の患者のために行うことはまだ普及していません。
患者の中には、銀婚式・金婚式など人生の節目となる日を病院で迎えるという人もいるでしょう。せっかくの大切な日を病院で過ごすことは、当人にとっては辛いことです。
高齢者の中には残りの人生に希望が持てず、日々の生活において活力がわかないという人もいるかもしれません。そんなとき、患者の心のケアのために家族でバウリニューアルを行うという選択肢も存在します。
なかなか病院内では盛大にセレモニーを行うことはできませんが、院内の食堂などで小さなスペースを使用してちょっとしたセレモニーを行ってみることもできます。
もちろん外泊可能な状態であれば、自宅で少し豪華な食事とともに結婚祝い、還暦祝いなど人生の節目となるセレモニーを執り行うことで、生涯忘れられない1日となることでしょう。
海外の事例をご紹介いたします。
アメリカにあるウィンチェスター病院で、結婚65周年を迎えるご夫婦の結婚祝賀会を行うという形で、ある高齢のご夫婦がバウリニューアルを実施されました。
このご夫妻には6人の子供がおり、二人の歴史を祝おうと夕食会を計画していました。ところが、妻であるマジョリーはパーキンソン病に苦しんでおり、病院に入院することになってしまったことから、夕食会を実現させることができませんでした。
そこで病院スタッフの力を借りて、病院でバウリニューアルを決行することに決心したのです。
いつもよりも豪華なランチ、写真、美しい花を用意して、子供や病院のスタッフに囲まれながら二人の歩んできた歴史を祝うことができました。多くの場合、闘病中に病院で迎える節目はあまり印象的なものになりませんが、こうして多くの人の協力のもとにある人の心をケアする方法が存在するのです。
国内ではテレビの取材などが入るときには病院で患者のための小さなイベントを執り行うことがありますが、普段はなかなか対応できないことが実情です。
ただ、病院で過ごす期間が長い患者の心のケアを、こうした形で考えていくことは大切なのではないでしょうか。
国内の事例をご紹介いたします。
こちらはマックスメディカルのグループである、一般社団法人バウリニューアルジャパンがお手伝いさせていただいたお客様のお話です。
お父様が癌を患っており、年を越す事が難しいかもしれないという事で、お嬢様からご両親へ内緒で
バウをすることはできないか、とお問い合わせを頂きました。
バウを知ったきっかけは、お母様と「世界ふしぎ発見」でハワイのバウリニューアルのコーナーを見て ハワイバウにご興味を持たれたそうです。
お嬢様はハワイに何度も旅行にいらしており、その都度お父様にアロハシャツをお土産にプレゼントされていたそう。 今回もお父様とお母様にムームーとアロハシャツを着て頂いてのバウをスタートしました。
声を出すことも難しくなっているお父様でしたが、仕事や人間関係など大変な事はたくさんあるけれど家族で過ごせる事がなによりも大切、とおっしゃっていました。 夫として、父親として、経営者として、様々なことを乗り越えられてきたお父様の言葉だからこそ 感じられる力強さがありました。
患者を対象としたバウリニューアルはそれほど普及しているわけではなく、こうした事例は一部にすぎません。
ただ、これから続く患者の人生が明るくなるようなきっかけを提供できることは、家族にとっても医療従事者にとっても喜びとなることでしょう。