2017年1月、トランプ大統領が就任しました。
過激な発言を繰り返して選挙戦に勝利したトランプ大統領ですが、アメリカの医療保険制度を改革するとして取り組んでいた「オバマケア」には否定的です。
いったい、「オバマケア」はどうなるのでしょうか。
ニュースなどでも「オバマケア」という言葉が使われていましたが、これはアメリカ国民に対し、医療保険に加入してもらうことを目的として制定した「アフォーダル・ケア・アクト(ACA)」と呼ばれる法律のことを指します。
アメリカでは日本と異なり国民皆保険の仕組みを取り入れていないため、国民が各自で民間の保険会社と契約を結んでいました。ところが低所得者では保険料の支払いが難しくなるケースが多く、そのために医療を受けられない層が存在していたのです。
アメリカでは2001年に1458万人が破産しましたが、自己破産する人のうち半数以上は医療費が原因であるなど深刻な状況でした。しかし、医療の高度化が進むとともに保険料はますます上がっていく一方で、低所得者が医療を受けられない状況が続いていたのです。
そうした状況を打開するためにオバマ元大統領が低所得者に対して新しい対応策としてオバマケアを打ち出し、補助を行うことでアメリカ国民の医療保険加入率を上げようと試みたのです。
アメリカではトランプ大統領の就任を目前に控えた際、オバマケアに加入する人が殺到しました。2017年向けの保険加入者は1年前の加入者を超えるペースで増加していることが、政府の統計によって示されていたのです。
就任以前、トランプ大統領が就任後は、オバマケアも廃止されてしまうかもしれないと考える人が慌てて加入したのです。「オバマケアが有効なうちに保険へ駆け込み加入をしよう」としても、トランプ大統領がアメリカの舵を取る今、オバマケア自体が廃止される可能性があります。しかし、トランプ大統領の就任前に保険に加入しておけば"少なくとも丸一年は保険を使うことができる"と考えた人が多かったのです。
保険料を支払うことができない層では、万一病気をしたときに医療を受けることができないか、もしくは自己破産するという選択を迫られることになります。少なくとも2017年はこうした不安から解放され、安心して生活できるということは当事者からすれば意味のあることなのです。
トランプ大統領は選挙中に、オバマケアの廃止を何度も訴えていました。また、別の方法に置き換えるとも明言していましたが、現時点では具体的なプランや財源が提示されていません。
トランプ大統領は、保険会社に競争させることによって保険料のコストダウンを図っていくことも示唆していましたが、これはオバマケアで行ってきた方法とは異なる方法になります。オバマケアによって医療保険に加入する人の数は増加しましたが、補助の撤廃などにより、また適切な医療を受けることができない人々が出てくる可能性があります。
現状では、トランプ大統領がどんな方針で保険の問題を解決していくかはまだわからない部分が大きいです。他のあらゆる政策についてもいえることですが、トランプ大統領が今後どのように国を動かしていくのかは未知数な部分も多数。アメリカ国民だけでなく世界が注目するトランプ大統領の政策は、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。
オバマ元大統領の功績の一つ、「オバマケア」の導入によって、多くのアメリカ国民が医療保険に加入することにつながりました。
トランプ大統領の政権下では、オバマケアが撤廃または置き換えされる可能性もあり、低所得者にとっては再び負担を強いられることになるかもしれません。
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