2016年8月25日、東京・足立区の柳原病院で「準強制わいせつ事件」を起こしたとされる医師が逮捕されました。
40代の乳腺外科医が患者に行った行為が「わいせつ行為」として扱われていますが、医師も病院も全面否定しています。
果たして柳原病院で起こった事件の真相とは、どのようなものなのでしょうか。
2016年5月10日、柳原病院に勤務する男性外科医が乳腺手術を終えた患者の診察を行い、その際に女性の胸を舐めるというわいせつ行為に及んだとされ、同年8月には逮捕に至りました。
まだ麻酔の影響で患者の意識が朦朧としている中で及んだ行為が本当だとすれば、非常に卑劣なものといえます。
被害者の女性は上司に相談し、上司が警察に通報しました。その後、男性医師の逮捕に至るまでの間、疑いがかけられている医師は取り調べや尾行を受けながら生活していたといいます。
乳腺手術という特定の領域で起きた事件であること、そして麻酔によって意識が朦朧としている中で患者が証言していることから、様々な見解が飛び交っています。
柳原病院事件をめぐり、2016年8月27日に勾留状、同年9月14日には起訴状が出されています。この2つの中で罪状が意図的に変えられた痕跡があり、物議を醸しています。
勾留状ではわいせつ行為が行われた時間帯が午後2時45分〜午後2時50分としているのに対し、その後に出された起訴状では午後2時55分〜午後3時12分に変更されています。また、内容に関しても、勾留状では男性医師が右手を自分のズボンに入れて自慰行為をしたと記載されていますが、起訴状ではその部分が削られており、胸を舐めたことだけが書かれています。
患者の意識が朦朧としている中での事件であることから、患者の証言の信憑性が注目される中、こうした記述の変更に疑問を抱く人も少なくありません。
医療界では男性医師を擁護する声が多く、大量の署名が集まったほどです。実際に行為に及んだとされる病室は4人部屋であり、他にも女性患者がいたことから、犯行は難しかったのではないかという見方もあります。
外科医であれば術後、せん妄によって幻覚や妄想が発生することは誰でも知っていることであり、そのせん妄の内容がわいせつ行為であれば逮捕されてしまうとした懸念も広がっています。
医師の立場を守るという視点のほか、患者の治療にも影響が出る可能性があることも考える必要があります。診療の差し控えなどで必要な診療を行えないことで、患者にも不利益が生じる可能性があるといえるでしょう。
今回、柳原病院で起きたわいせつ事件は乳腺に関わる手術であったこと、そして術後せん妄がある状態だったことの2点がポイントとなります。
同じ条件が揃ったとき、医師が皆逮捕されるような事態になると、医療界には混乱が生じることになるでしょう。
こういった事態に備えて監視カメラをつけた方が良いという意見もありますが、現実的に考えて各病室に監視カメラをつけることは"プライバシーの観点"からも難しい場合が多いです。
最低限の対応として、患者の触診を伴う診察や処置を行う際には、看護師とともに行うことを徹底するなど、他の人の目がある環境を確保することが望ましいでしょう。
柳原病院事件は、術後せん妄の可能性もゼロではない、特殊な状況の中で発生しました。
わいせつ行為から女性を守る観点は大切ですが、同時に外科医が安心して業務に当たれるような環境を整備していくことも重要です。
今回の件に巻き込まれた医師は、仮に無罪となったとしても代償は大きくなるでしょう。
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