日本では医師の数は年々増えてきており、医学部の定員増も図られていますが、医師不足が深刻といわれています。
日本の医師不足の現状や、診療科による医師不足の偏りについてご紹介していきます。
我が国においては、医師の数は年々増加してきています。医師不足といっても、都市部に集中しているだけではないかという意見もありますが、実際に日本においては医師不足が深刻といえる状況なのです。
人口に対する医師の数でいうと、OECD加盟国の中でもほとんど最下位に近い水準であり、医師の都市部への集中だけでは説明ができない状況であるといえます。
医師不足を打開するために医学部の定員を増やす大学も増えてきており、さらに地域医療枠で入学する医学部学生も増加してきています。
そもそもの医師の絶対数が不足していることに対し、医学部の定員を増やして対策することは現実的に効果が期待できる方法ですが、その学生が一人前の医師として活躍できるのはまだまだ先の話です。すぐに医師不足が解消されるわけではありませんが、中長期的なスパンでみてコツコツと医師の数を確保していくことが求められるでしょう。
順位 | 国 | 医師数 |
1 | キューバ | 6.7 |
2 | ギリシャ | 6.2 |
3 | スペイン | 4.9 |
4 | ベルギー | 4.9 |
5 | オーストリア | 4.8 |
6 | ノルウェー | 4.3 |
7 | ロシア | 4.3 |
8 | ポルトガル | 4.1 |
9 | スイス | 4.0 |
10 | アルゼンチン | 3.9 |
11 | スウェーデン | 3.9 |
12 | ドイツ | 3.9 |
13 | ブルガリア | 3.9 |
14 | ベラルーシ | 3.9 |
15 | イタリア | 3.8 |
16 | ウルグアイ | 3.7 |
17 | カザフスタン | 3.6 |
18 | チェコ | 3.6 |
19 | ウクライナ | 3.5 |
20 | デンマーク | 3.5 |
21 | イスラエル | 3.3 |
22 | オーストラリア | 3.3 |
23 | レバノン | 3.2 |
24 | フランス | 3.2 |
25 | ハンガリー | 3.1 |
26 | クロアチア | 3.0 |
27 | オランダ | 2.9 |
28 | フィンランド | 2.9 |
29 | モンゴル | 2.8 |
30 | イギリス | 2.8 |
31 | エジプト | 2.8 |
32 | クウェート | 2.7 |
33 | アイルランド | 2.7 |
34 | ニュージーランド | 2.7 |
35 | ヨルダン | 2.6 |
36 | アラブ首長国連邦 | 2.5 |
37 | サウジアラビア | 2.5 |
38 | アメリカ合衆国 | 2.5 |
39 | スロベニア | 2.5 |
40 | オマーン | 2.4 |
41 | ルーマニア | 2.4 |
42 | 日本 | 2.3 |
43 | ポーランド | 2.2 |
44 | 韓国 | 2.1 |
45 | カナダ | 2.1 |
46 | メキシコ | 2.1 |
47 | セルビア | 2.1 |
48 | シンガポール | 2.0 |
49 | 中国 | 1.9 |
50 | ブラジル | 1.9 |
51 | トルコ | 1.7 |
52 | パナマ | 1.7 |
53 | エクアドル | 1.7 |
54 | エルサルバドル | 1.6 |
55 | シリア | 1.5 |
56 | ドミニカ共和国 | 1.5 |
57 | コロンビア | 1.5 |
58 | ベトナム | 1.2 |
59 | マレーシア | 1.2 |
60 | トリニダード・トバゴ | 1.2 |
61 | アルジェリア | 1.2 |
62 | チュニジア | 1.2 |
63 | コスタリカ | 1.1 |
64 | ペルー | 1.1 |
65 | チリ | 1.0 |
66 | イラン | 0.9 |
67 | グアテマラ | 0.9 |
68 | パキスタン | 0.8 |
69 | 南アフリカ | 0.8 |
70 | インド | 0.7 |
71 | スリランカ | 0.7 |
72 | イラク | 0.6 |
73 | ミャンマー | 0.6 |
74 | モロッコ | 0.6 |
75 | タイ | 0.4 |
76 | バングラデシュ | 0.4 |
77 | ジャマイカ | 0.4 |
78 | ナイジェリア | 0.4 |
79 | イエメン | 0.2 |
80 | インドネシア | 0.2 |
81 | カンボジア | 0.2 |
82 | ケニア | 0.2 |
83 | ザンビア | 0.2 |
84 | ウガンダ | 0.1 |
85 | ガーナ | 0.1 |
86 | パプアニューギニア | 0.1 |
87 | エチオピア | 0.0 |
88 | タンザニア | 0.0 |
89 | マラウイ | 0.0 |
90 | フィリピン | ... |
91 | ホンジュラス | ... |
92 | ベネズエラ | ... |
93 | コンゴ民主共和国 | ... |
医師不足の背景には、もちろん医師の絶対数が不足していることも大きな要因として挙げられますが、各診療科における医師の偏在ということも一因にあります。
業務が心身ともにハードになることが想定される診療科は、医学部の学生が卒業後に働く場として避ける傾向にあります。また、最近の若者の特徴として「さとり世代」というネーミングがされているのをご存じでしょうか。さとりとは「悟り」のことであり、現実主義で大きな夢や目標を設定せずに、仕事もプライベートもそこそこで満足するという意味として使われています。
医師を志すようなエリートの道を歩んできた若者や学生にも当てはまるかはわかりませんが、近年の若者の性格特性からハードな診療科は今後も敬遠され続ける可能性があります。せっかくモチベーションがあっても、肉体的にも精神的にもある程度自信がなければハードな診療科を選択することには気が引けてしまいます。
医師を確保するためにも、特にハードとされる外科や産婦人科、小児科といった診療科では職場環境の改善を図る必要があるでしょう。
厚生労働省が平成22年に行った実態調査によると、正規雇用の女性医師の割合は15%以上とされています。過去と比べると女性医師も増えてきていますが、他職種と比べるとやはり産休や育休がとりにくい現状にあります。
医学部の定員を増加させることは長い目で見て効果が期待できますが、即効性のある方法ではありません。
医師不足解消の糸口にもなるかもしれない女性医師が勤務を続けやすい環境の整備が求められるでしょう。ワークライフバランスを保ちながら就労しやすい就労環境を作り、バックアップしていくことが必要なのです。
近年は保育園での待機児童の多さも問題視されていますが、保育士も同じように不足しているといわれています。しかし、ブランクがある保育士の復職サポートが徐々に始まっており、こういった潜在的な人材を活用することはマンパワー不足の解消に貢献してくれることでしょう。
医師においても同様に女性のサポート体制は医師不足を解消するための一つの手段として貢献することが期待されます。
日本では人口に対する医師の割合が少ないことが特徴です。さらに、ハードな仕事を希望しないという若者の新しい価値観から、特定の診療科は今後も敬遠され続ける可能性があります。
女性医師が働きやすい環境の整備など、様々な観点から医師不足解消につながる取り組みをしていくことが望ましいでしょう。
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