医療をとりまく環境は刻々と変化しています。従来と同じやり方ではなく、時代にあわせた医療改革が必要となります。
また、他の先進国の成功例を参考に、医療制度の改革を行っていくことも重要なポイントとなるでしょう。
今回は我が国における医療の現状、特に医療費の増大に着目してご紹介していきます。
日本では高齢化が進み、患者の層も変化してきました。これからは後期高齢者が多い時代に突入していきます。
長寿国の日本では寿命が延びている中で、「健康寿命」を延ばすためには予防的な観点は欠かすことができません。一般的に多くみられる生活習慣病や内科疾患だけでなく、これからは認知症の予防もキーワードになってくるでしょう。
最近では「予防歯科」という言葉もよく耳にするようになりましたが、歯科でのケアについても虫歯になる前の予防が重要というように考え方が変わってきています。
これから増えてくる高齢者の健康をサポートするべく、医療における予防的な観点はますます欠かすことができないものとなるでしょう。
近年、高齢化に伴い老人医療費は増加する一方で、これからますます医療費は右肩上がりに増加していくことが見込まれます。このままだと、さらなる増税の必要に迫られることもありえ、また、国民の保険料が値上がりするなどの事態は避けることができないでしょう。
医療費の伸びを抑えるためには、生活習慣病の予防・対策をより早い段階から行う必要があり、国民の健康を支えるためだけでなく国の財政としても予防的な観点は必須になってきます。
さらに、患者が医療費を一部負担する制度などの見直しが求められ、より多くの費用を支払わなければならない時代に突入する可能性があります。
医療費の伸びについては、経済の動向と掛け離れることがないようにすることも必要といわれています。その点に留意しつつ、変わりゆく時代に応じてこれまでとは考え方・やり方を変え、制度をふくめた「医療改革」を行っていくことが必要となります。
高齢化に伴って医療費が増えているのは日本だけではありません。
日本では少子高齢化が著しいですが、他の先進国においても同じ課題に直面しています。ドイツでも医療費は増加しており解決すべき課題となっており、診療報酬のあり方も改善されました。
例えば、診療報酬の総額や病院ごとの予算額などを明確にする予算制を取り入れるなどの対応を含め、制度改革を繰り返した結果、医療費の増加を抑制することに成功しています。
先進国の多くでは、医療費と財政は密に結びついており、医療費の伸びをどのようにして抑えるかは共通の課題となっています。
日本の医療制度は、もともとドイツを模範として作られていることもあり、保険料制を取り入れているなど共通点も多いです。高齢化の状況においても似通った点があり、参考にすべき例といえるでしょう。
もちろん、他の国や地域の取り組みでも、日本の制度改革に取り入れられるべき点は多くあるでしょう。
諸外国の成功例にならって、日本においても医療費を抑制するための対策が必要となっていきます。医療制度の改革を実現し、そこから成果を出すまでには年月を要するため、早い段階からさらなる高齢化社会に備えていく必要があるでしょう。
医療をとりまく状況は変化しており、特に高齢化による医療費の増加は大きな問題です。
海外ではすでにそれぞれ対策を行っていますが、日本でも何かしらの対応は求められてくるでしょう。
増税や保険料の増加といった事態を防ぐため、医療費を抑制するための試みを継続していく必要があります。