急速に技術が発展し、AIを様々な分野で応用する動きが出てきました。医療分野においてもAIを活用すべく、様々な取り組みがなされています。
すでに医療においても、これまで医師が行ってきた業務の一部をAIが担うような方向で開発や試験が続けられています。
携帯電話のショップや銀行、各種展示場やショールームなどで接客を行うロボット「Pepper」などが有名ですが、人工知能は様々なフィールドで利用されています。
まさに映画の世界のようですが、テクノロジーはものすごい速さで発展してきています。最近では、エアコン・洗濯機といった身近な家電でも人工知能搭載の製品があり、将棋における人工知能の力はすでに人間の能力を超えています。
2014年には、人工知能を搭載したプログラムで、将棋の名人棋士が5人で挑んでも1勝しかできなかったことは話題になりました。このように人工知能はめざましい発展を続けていますが、医療の現場においても応用する試みがすでに始まっています。
医療の世界がAIによって大きく変化が生まれる日もそう遠くないかもしれません。
AIの医療への応用と一言でいっても、医療は幅広い領域に及びます。
AIの医療現場への応用において、まず診断を行うことに貢献すると期待されています。病気の特徴や臨床データと、対象となる患者の症状や各種データとマッチングさせ、考えられる診断名を表示することができるなど、AIの利点を存分に生かした構想が練られています。
診断においては、人間が行うよりも「疾患を見落とすリスク」が下がるというメリットがあります。
さらに、症例数が少ない疾患においても、膨大なデータに基づいて客観的かつ正確に判断できる可能性を秘めています。
医師と一言でいっても、経験年数やその他の様々な要因によって学習された知識にはばらつきがあり、その人の蓄積された情報や推論によって診断結果が異なってしまう可能性があります。
しかし、AIの導入によって、優れた医師の診断能力を超えるような的確な診断が実現可能になる日が近づいてきています。
2016年には、人工知能「Watson」が、実際に白血病の正確な病名をたった10分で見抜き、適切な治療法をアドバイスして医師を驚かせたという事例があります。東京大学医科学研究所が発表した事例であり、世界を驚かせたニュースでした。
このケースではWatsonが大量のがんに関する論文を学習し、それらの情報に基づき適切な診断を行い、最適な治療方法を提案し、実際に患者の命を救うことができたとされています。
AI、がん治療法助言 白血病のタイプ見抜く
膨大な医学論文を学習した人工知能(AI)が、診断が難しい60代の女性患者の白血病を10分ほどで見抜いて、東京大医科学研究所に適切な治療法を助言、女性の回復に貢献していたことが4日、分かった。
使われたのは米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破った米IBMの「ワトソン」。東大は昨年からワトソンを使ったがん診断の研究を始めており、東條有伸教授は「AIが患者の救命に役立ったのは国内初ではないか」と話している。他にもがん患者の診断に役立った例があるという。
AIは物事を学習し、考える能力を持つコンピューターのプログラム。チェスや囲碁などで人間に勝つだけでなく、今後は医療への本格応用が進みそうだ。
女性患者は昨年、血液がんの一種である「急性骨髄性白血病」と診断されて医科研に入院。2種類の抗がん剤治療を半年続けたが回復が遅く、敗血症などの危険も出た。そこでがんに関係する女性の遺伝子情報をワトソンに入力すると、急性骨髄性白血病のうち「二次性白血病」というタイプであるとの分析結果が出た。
ワトソンは抗がん剤を別のものに変えるよう提案。女性は数カ月で回復して退院し、現在は通院治療を続けているという。
東大とIBMは昨年から、がん研究に関連する約2千万件の論文をワトソンに学習させ、診断に役立てる臨床研究を行っている。〔共同〕
引用元:日本経済新聞(2016/8/4)
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