我が国では医療分野や介護の現場で外国人労働者を受け入れており、ニュースでも目にするようになりました。
外国人労働者の受け入れによって少子高齢化における人材不足を打開することができるのか、その実態について紹介していきます。
日本においても外国人労働者は多くいますが、研究者や医師などの専門分野でも受け入れを行っています。研究者や医師はさまざまな国の出身者がいますが、特に医師においては2015年に外国人医師の受け入れに関わる規制が緩和したことから、今後数が増えていく可能性があります。
緩和された規制とは、国家戦略特区法が改正されたことによるもので、指導体制さえ整っていれば外国人医師が単独の診療所でも仕事ができるというものです。医師を除いて、医療や福祉の分野では看護師や介護士も外国人労働者として働いています。
彼らはフィリピンやインドネシアなど東南アジアの出身であることが多く、ニュースなどで目にする機会も多いのではないでしょうか。日本のマンパワー不足を補ってくれる存在となりうるか、期待が高まるところでもあるのです。
外国人労働者を雇用するメリットとしては、人材不足を解消できることです。日本は現在人材が余剰とする見方もありますが、介護職のような3K(きつい・汚い・危険)といわれる労働においては、まだまだ人材は足りていないのが現状です。
さらに、日本においては少子高齢化に伴い、これからますます若い働き手の数が減少していくことが見込まれます。そういった人材不足を解消してくれる可能性がある点が、外国人労働者を受け入れるメリットであるといえるでしょう。
受け入れのデメリットとしては、医療・介護現場では高齢者を相手にすることが多いため、外国人ということに抵抗感がある人がいることです。
外国人が日本語をマスターするには長い道のりが必要で、言葉が十分に通じないことがハードルとなってしまいます。また、東南アジアからの受け入れでは、技術的な面で心配する患者も多いことが現状です。
実際に、フィリピンやインドネシアと協定を結び、介護福祉士や看護師の外国人労働者にビザを発給すると決めた際、国内の介護福祉士・看護師の団体が反発していた経緯があります。
医療分野においても、外国人労働者への言語面・技術面でのフォローをどうしていくかが今後の課題となっていくでしょう。
国民の介護を守るための活動を行っています
(2)介護分野における技能実習制度(外国人)導入を行わないこと 現在、求められている介護ニーズは身体介護のみでなく、認知症への対応、医療的ケア、 予防からターミナルケアなど幅広い介護が求められており、介護には一定の教育と専門性が必要であり、単純労働ではありません。 「社会福祉士及び介護福祉士法」の第2条の定義規定も、「入浴、排せつ、食事その他の介護」から、 「心身の状況に応じた介護(喀痰吸引(中略)を含む。)」と改正されているところです。
介護業務を単純労働と捉えて、技能実習制度対象職種に介護分野を追加し、外国人を受け入れることは反対です。 日本での介護人材確保対策が十分行われていない状況で、労働力確保のため単純労働として、 日本語にいるコミュニケーション能力や一定の介護技術がないまま外国人が介護分野に参入することは、 介護サービスの質の低下を招き、国民が安心して介護を受けることも出来なくなる懸念があります。 また、安い労働力参入は現在の介護職員の賃金の低下を招き、更に日本人による人材不足は深刻化する恐れがあります。
つまり、介護は対人援助サービスであり、十分な日本語能力とコミュニケーション技術が必要です。 利用者とのコミュニケーション、他の介護職員・他の専門職とのコミュニケーションが不十分であれば、 介護サービスは利用者の意向に沿ったものにならず、外国人が介護職員に従事するためには、 現在行われているEPA対応を必須条件として国家試験合格が最低条件とすべきです。
医療分野や介護の現場で働く外国人労働者は、日本の国家試験に所定の年数で合格できなければビザが更新されないことになっています。これが外国人にとっては大きな壁となり、労働を難しいものにしている側面もあるのです。
日本語で出される問題を読んで答えられる人は少ない現状にあり、母国では敏腕といわれる看護師でも落ちてしまうので、合格率も低い水準となっています。
外国人が日本語という壁を乗り越えることが難しいという場面は、日本へ移住した外国人が運転免許をとろうとするときなどにもあり、ペーパーテストで困難に直面するということがしばしばあります。
日本語の読み書きは外国人にとって大きなハードルとなりがちであり、そういった経緯から外国人が日本以外の国で労働することに積極的になる動きもあります。日本が今後優秀な人材を海外から確保できるかどうかといった課題の一つともなるでしょう。
今後も外国人労働者を受け入れる取り組みは続いていくと想定されますが、その一方で課題も多く残されています。
医療分野や介護の分野といった患者相手の仕事では、言葉と技術の面をクリアできることは必須ですが、そういったサポート体制をどう整えていくかが課題となります。