医師にとって働きやすい病院とはどのようなものなのでしょうか。「働きやすい」と感じる基準は人それぞれですが、一般的にどんな条件を満たしている病院が働きやすいといえるのかを取り上げていきます。現在、勤務している病院の状況と照らし合わせてみてはいかがでしょうか。
医療現場においては「チーム」という言葉がよく用いられています。「チーム医療」といえば、患者一人一人の治療に医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士などスタッフが連携して挑むことをイメージしますよね。
良い治療を提供するためには、チームの力を欠かすことは出来ません。そして、働きやすさという点でも「医師同士のチームワーク」は大切です。
医師の業務量は多いため、目の前にある自分の仕事だけで精一杯であることも少なくありません。ただ、働きやすい環境を作るためには、互いに助け合うような雰囲気がある病院であることが理想的です。「助け合う」とは月並の表現に聞こえますが、仕事量が膨大である中で実践することは意外と難しいものなのです。
筆者が学生時代に初めて取り組んだアルバイトは飲食店のホールスタッフでしたが、その際に「目の前のお客様だけでなく、天井から店全体・スタッフ全体の状況を見るような視点を持つこと」と指導をされました。この言葉は、社会人になって病院で仕事をするようになってからも生きており、職場の全体像を見渡すことの必要性を思い出させてくれます。
病院での医師同士の助け合いは重要ですが、例えば子育て中の女性医師が短時間の勤務にさせてもらっている場合に「勤務を短くしてもらっているかわりに、外来の対応を頑張らせてもらう」といった姿勢を見せるだけでも雰囲気は良くなります。これは医療現場に限ったことではありませんが、全体のバランスを考え、互いに気遣うことで働きやすくなることは間違いないでしょう。
医師としての「働きやすさ」が気になるのは、やはり女性医師の方が多いのではないでしょうか。女性医師が仕事を続ける上で優先したいのは、やはり家庭や育児と両立できるかどうかという点ですよね。
各病院で産休・育休の制度が整っていることは当たり前になっていますが、実際にそうした制度がどのように運用されているかが核となります。形式的に制度が存在するだけで、取得した実績がなければ、必要になった際に休暇を取得することは現実的に難しいものとなるでしょう。
制度があるだけで「この病院は家庭と両立して働きやすそう」と安易に判断することは避け、実際の産休・育休の取得実績にまで目を向けていくことをおすすめします。
病院の雰囲気は、やはり理事長や院長などトップに立つ人の考え方によっても変わってきます。子供はだんだんと親に似ていくものです。病院や企業においてもそうですが、上に立つ者の考え方はその組織のあり方に反映されやすいのです。病院のトップと話すと、本当に働きやすい環境を実現したいと考えているのか、口先だけで綺麗事を言っているのかは伝わるものです。
医師の場合は就職先を紹介してもらう場合も多く、なかなか自分では選択の余地がないかもしれません。ただ、病院トップと話すときにどれだけ熱意を持った人々であるかを見ることは、その病院の環境を知る上で手がかりとなるでしょう。
いくつか就職先・転勤先の候補があり、働きやすさを重視したい場合には、そうした観点で病院選びをしてみることも方法です。
どんな職業においても同じといえますが、互いに配慮し合い、補いながら仕事ができる環境では働きやすいと感じるでしょう。
互いに助け合って休暇を取得しやすい環境を実現している病院が理想的ではありますが、病院のトップの考え方によるところも大きいですね。