AIが実用的なレベルまで発展してきており、将来的に多くの職業がなくなるのではないかと懸念されています。ところが、米国ではAIによって障害者の雇用を促進できるという見解が示されました。今回は、新たな雇用を創出する可能性のあるAIの位置付けについてご紹介していきます。
AIの精度が高まり、実用的なレベルにまで発展してきている今、将来的にAIに奪われてしまうといわれている職業があります。
2013年には、英・オックスフォード大学のオズボーン准教授が機械に奪われる仕事に関する研究として「THE FUTURE OF EMPLOYMENT:HOW SUSCEPTIBLE AREJOBS TO COMPUTERISATION?」を発表し、注目を集めました。 将来的に機械に置き換えられるといわれる仕事には、販売員・会計士・事務員・セールスマン・秘書・作業員・運転手などが挙げられます。
計算を含む事務的な処理は,機械の方が得意であるというイメージをお持ちの方も多いでしょう。事実、販売員やセールスマンなどの接客業に当たる仕事については、既に展示場などでAIを搭載したロボットが導入されています。
AIが顧客に対する応答パターンを多数学習することで、簡単な接客であれば問題なく遂行することができる時代になりました。そのようにして、将来的に人間の仕事はどんどんAIに置き換わっていく可能性があるのです。
多くの職業が機械に置き換えられるといわれる一方、新たな雇用を創出できる可能性があるとする立場もあります。米国では、AIの導入によって障害者雇用を促進できるという見解をまとめた白書が提出されました。
特に自動運転車両がもたらす恩恵については「産業革命以降、最も好ましい変化を社会にもたらす」というコメントもみられるほどです。実際、トヨタ自動車はAI研究を行うための会社を米国に設立し、多額の投資を行っています。
さらに、2017年3月には、米IBMがAIを自動運転時の事故回避に利用できる機械学習技術に関して特許を取得したと発表しました。自動運転については、国内外で着々と開発が進んでいるのです。
障害者が就労し、自立した生活を営む上で障壁となる要因としては、まず移動手段の確保が挙げられます。
既に音声入力などの仕組みによる恩恵を受けている障害者もいますが、自動運転車が普及することで障害者の雇用を促進できる可能性があるのです。
自動運転の技術も日々進歩し、事故回避の技術まで確立されるようになったことは、障害を持つ人にとっては朗報でしょう。
国にとっては、膨らんでいく医療費をどのように抑えていくかは重大なポイントとなります。
AIの導入によって、障害者に雇用のチャンスが与えられることで、米国では1年間に190億ドル、日本円にして2兆円以上の医療費を削減できるというのです。
AIの技術によって人の人生が支えられることになれば、そもそも「障害」というものの概念に変化が生じる可能性があります。どこからが「障害」という範囲なのかを定めることは難しいですが、日常生活に支障が出ている場合には「障害」として扱われるでしょう。
AIの技術によって障壁を取り除き、生活できる日がくるとしたらもはや「障害」を感じなくなる人も出てきます。低収入の生活を強いられてきた障害者が、生活の質を向上させることができるのではないかとAIに対する期待は高まっています。
これまでは「AIが職業を奪う」と否定的な見方をされてきましたが、場合によっては新たな雇用を生み出すことにもつながるのです。
自動運転やリモートワークの普及によって障害者に活躍の場が広がる日も近いようです。障害者が自立した生活を営むために大きく前進できることでしょう。
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