職場において介護と医療の間に"壁"があると感じたことはあるでしょうか?
特に、看護師と介護士は対立することも珍しくありません。 医師の目には入らないことも多いですが、看護師・看護師が対立する理由や、医師としてできる対策について解説していきます。
医師や看護師は「医療行為」を行うことができます。しかし、介護士の場合は介助・介護が中心であり、医療行為を行うことができません。介護士は医療行為という専門的な業務を行えないため、そのことで医療職が高圧的な態度をとってしまうこともあるのです。
本来ならば医療と介護ではそもそも仕事の内容が異なり、比べるようなものではなく、協働していくものと位置付けられるべきでしょう。実際、医療スタッフが欠けても、介護スタッフが欠けても業務的には穴が大きくなってしまいます。 リーダーシップを取るのは医師の仕事であり、その他のスタッフは部署ごとにリーダーになる人はいるものの、基本的に平等な関係にあるはずです。
ところが、介護士側からすると居心地が悪く感じられてしまうこともあるようです。介護の働き手が少ないといわれる昨今において、できるだけ働きやすい環境で業務に当たってほしいものですね。
病院や施設において、看護師と介護士は職場内で対立してしまうこともしばしばあります。もちろん職場によって雰囲気は大きく異なりますが、医師の目には入らない水面下でピリピリとした空気になっていることもあるでしょう。医師の目線から見て、「自分の職場は仲良くやっている」と認識していても、実は看護師と介護士は対立しているというケースも少なくないのです。
ではなぜ、看護師と介護士は対立しがちなのでしょうか? よくあるケースとしては、看護師の方が「介護士よりも偉い」という誤った認識を持ち、一部の人がえらそうな態度をとってしまうことがあるようです。介護職と比べ、看護職の方が収入も多く、医療に関わる専門知識もあることから優位な立場と考えてしまう傾向にあるのです。
ただ、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設で働いてみると、介護士の方が人数が多いこともあり、看護師の言うことに聞く耳を持たないケースもあります。看護師と介護士の人数のバランスによっても雰囲気が変わってくるようです。
いずれの職種も女性が多いことや、シーツ交換など仕事の面でオーバーラップする部分もあるため、ふとしたことから対立してしまいやすいのでしょう。人間関係がうまくいかなければ"適切な治療を提供するための連携"という意味でも支障が生じることがあるため、甘く見ることはできません。
医療職と介護職の対立は、医師の目に見えないところで起こっていることも多いため、医師として介入できる機会は少ないかもしれません。ただし、出来ることもあります。
最低限の対応として医師にできることは、まず介護士が知らない医療用語を使わず、易しい表現におきかえることです。医療現場でスタンダードになっている言葉を介護のスタッフに使うと、話が理解できずに居心地が悪くなることがあるようです。
また、カンファレンスなどでは普段の患者・利用者の様子をよく知っている介護士の発言にも耳を傾けることが挙げられるでしょう。看護師や介護士の意見に耳を貸さない医師も少なくありませんが、実際の生活をモニターしてくれているスタッフの声は大切にしましょう。
医師が全てのスタッフの意見を尊重しているという雰囲気を出すだけでも、職場のムードは大きく変わる可能性があります。チームワークを向上させ介護と医療の連携をとること。適切な治療を提供していくためにも雰囲気作りは大切なことといえるでしょう。
医師の前では笑顔を見せていても、陰では看護師と介護士が激しく対立していることもあります。どの職種もチームには欠かせないので、うまく協働していくことが求められます。
医師として積極的に介入できる問題ではありませんが、少なくとも全てのスタッフが大切であるという姿勢を見せることで雰囲気が良くなるかもしれませんね。