一般的に給与水準が高いイメージを持たれる医師ですが、職務内容と報酬が見合っていないと感じている医師は少なくありません。勤務医を対象にした年収に関するアンケート調査でもそれを裏付ける数値が出ています。
給与は働きに対する評価であり仕事へのモチベーションにもつながります。報酬が適正かどうかを判断するために、自分の市場価値を知ることは重要です。
医師が自分の市場価値を見極めるのは大変困難です。診療科目は種類が多く給与がそれによって異なるからです。外科や内科といったメジャーな診療分野と放射線科や病理科などの特殊な分野によって求められる技術は違い、報酬に差が出てきます。さらに同じ診療科目内でも専門領域が複数に分かれていますからなおさらです。
また、常勤で働いているのか非常勤かの雇用形態の違いによっても給与内容は変わってきます。常勤は社会保険加入など安定した条件での勤務になります。一方、非常勤は社会保障が期待しにくい不安定な雇用になります。ですが、報酬面では後者の方が上であることが通常です。どのような働き方をしているかによっても賃金は人それぞれになります。
自分の市場価値を正確に判断するのに必要な多くの情報源となるネットワークを独自でもっている医師はなかなかいません。自分で情報収集するには限界があります。同じチーム内であれば労働条件は同じですが、年齢や役職によって報酬額が違ってきます。自分の市場価値を知るには、医師の給与の実態について多くの情報を保有している先を探すことが賢明です。
一般的な職業であれば、ハローワークや民間の求人サイトを検索することで相場はわかりますが、医師についての求人はほとんどありません。しかし、医師専門の転職エージェントであれば医療界の求人の実情がわかります。
転職エージェントは医師を補充したい医療機関から求人の依頼がきます。どんな診療科目医を求めているのか、常勤か非常勤かの雇用形態、給与はどのくらい、こうした病院側のニーズが蓄積されていく情報リソースともいえます。
雇用先である病院がどの専門科目に対してどれほどの賃金設定をしているのか、転職エージェントに登録することで今まで知ることができなかった業界の経営についてがわかります。病院も企業同様に収益を上げる必要があり、患者や地域医療のニーズに応じてどの診療科目に力を入れるべきか経営方針の決定と診療医の検討をするのは一般企業と同じです。
エージェントは病院経営にとって医師獲得の重要な役割を担っています。医療機関からの信用と実績が高いエージェントであれば自分の市場価値の判断基準になる病院情報が豊富です。
エージェントは1社に絞らず複数の会社に登録することをおすすめします。情報が多いことに越したことはありませんし、エージェントにも得意不得意があります。自分の市場価値が的確にわかるための質の高い情報提供ができるエージェントを見つけ正確な価値判断をすることです。
なお、要望を伝えるさいにはエージェントが把握しやすいように今までの実績や要望を明確にしておくと実際にアクションを起こすときに役立ちます。
医師専門のエージェントとの密なやり取りをする中で、自分のスキルをいかすよりよい先が見つかることが期待できます。自分の市場価値を知ることは自分の市場価値を高めるための第一歩。今後どのような方向性を目指すかというライフビジョン設計の重要な指針になります。
医療経営について精通したエージェントを活用して、医局や病院側のイエスマンに陥らず医学界を自分の意志で自由に生き抜く力を身に着けていきたいものです。