ある医薬品市場調査の会社が、「医師の転職意向に関する調査」を行いました。その結果、実際に転職した医師に一番多い転職理由は、「施設や医局の方針と合わなかった」というものでした。
女性医師に限ると「育児のため」という理由が群を抜いています。理由はともあれ、転職を成功させるためには、転職サイトの使い方をマスターすることが大切です。
転職には人それぞれ、さまざまな理由があります。参考のために、よくある転職理由をいくつか挙げておきましょう。
まず、職場の方針や人間関係が挙げられます。自分の考えを曲げて、あるいは無理をして勤務を続けても、よい結果は得られませんし、ストレスをため込んでしまいます。
次に、仕事内容が自分の考えと合わないという理由があります。自分が理想とする診療をしたい、あるいはもっとスキルを伸ばしたいという、前向きな転職理由です。
続いて、収入を増やしたい、があります。ご承知のように、医科大学を卒業するまでには、学費など大きな費用負担があり、なるべく早く費用を回収したいと考え人も多いのです。
その他、勤務時間を減らしたい、休暇を取りたい、など家族や友人との時間を大切にして、生活にゆとりを持ちたいという理由があります。さらに、育児や介護のため止むを得ず、というケースもあるでしょう。
理由は何であれ、大切なのは、なぜ転職したいのかをはっきりさせることです。現状に何らかの不満があるのか、あるいは将来のキャリアアップのためなのか、まず動機を明確にしましょう。
次に、その理由に優先順位をつけ、絶対に譲れない条件を決めておくことです。そうすることで、多くの求人に目移りすることなく、納得のいく決断をすることができます。
転職サイトを選ぶ際には、求人数が多いか、エージェントの質はどうか、求人先との交渉をしっかりやってくれるか、実績が豊富か、などをチェックしましょう。サイトの絞り込みができたら登録に移ります。
できれば2社から3社登録を行いましょう。複数に登録することで、各サイトの比較ができ、よい求人に巡り合う確率が上がります。
転職サイトには多くの求人が出ていますが、募集していることを知られたくないなどの理由で、表に出ていないものがたくさんあります。登録をすると、そうした非公開の求人を見ることができ、紹介もしてくれます。
続いて、転職サイトのエージェントと信頼関係をしっかりと作ります。その際、なるべく面談することをお勧めします。文字や音声だけのやりとりよりも、お互いの理解が進みます。遠隔地の場合、面談は難しいですが、それでもメールだけのやりとりより、電話などで直接話をしたほうがよいでしょう。
面談の際には、自分の希望や優先する項目をはっきりと告げましょう。正しく伝われば、希望に近い求人を紹介される確率が高くなります。
エージェントとの面談が済むと、いよいよ求人の紹介を受けます。興味があるものが出てきたら、まずは応募してみましょう。
職場見学や面接のスケジュールは、エージェントが調整してくれますし、必要最低限の条件は、エージェントがあらかじめ医療機関と交渉してくれます。いざ、見学や面接を行ったものの、どうもしっくりこないという場合は、断ることもできます。
条件が似た求人が複数あれば、並行して見学や面接に臨み、比較したほうがよい結果に結びつきます。給与や勤務時間など、若干希望と合わない部分があれば、エージェントに追加の条件交渉を依頼しましょう。自分では言いにくい、あるいは聞きづらいこともエージェント経由なら角が立ちません。
内定が出たら、エージェントから条件確認書をもらい、のちのちトラブルにならないよう、条件を書面で確認しましょう。さらに、今の職場を退職する手順についても、エージェントに相談することが大切です。退職時にこじれてしまうと、将来のキャリアに悪影響が及ぶかもしれません。転職エージェントには円満退職のノウハウがあります。
転職するときには、まずその理由を明確にし、重視する点や条件に優先順位をつけ、自分がぶれないこと、そして転職サイトのエージェントと信頼関係を作ることが大切です。
相互理解ができていれば、条件交渉も任せられますし、現職の退職についても、知恵を借りることができます。転職エージェントを自分のよき理解者として活用できるよう、ぜひ転職サイトの使い方をマスターしてください。