大阪府立病院機構・大阪急性期・総合医療センターで、内定していた女性医師が妊娠していることがわかりました。その結果、女性部長のある言葉がマタハラに該当するとして厳重注意となりました。賛否両論ある話題を取り上げていきます。
セクハラ・パワハラ・アカハラなどは認知度が高いハラスメントの種類です。しかし、最近はモラル・ハラスメントの略語である「モラハラ」、スメル・ハラスメントの略語である「スメハラ」などの言葉も出てくるようになりました。社会がハラスメントに対して敏感になってきているということもできるでしょう。
もう一つ知っておきたいワードとして「マタハラ」が挙げられますが、これは「マタニティー・ハラスメント」の略です。働く女性が妊娠や出産、育児をきっかけとして職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けることや、解雇・雇い止め・自主退職を強要するといった形で不当に扱われることを指します。
かつては寿退社したり、子供を授かったら退職する女性が多かったですが、現代においてはそうしたライフイベントと就労を両立するための動きが高まっているのです。
妊娠や出産、育児と仕事を可能な限り両立したいと考える人が増えてきています。国としても女性の活躍を推進していきたいという思いがあり、男女雇用機会均等法といった法律の中でも女性に対するマタハラは禁忌となっています。
2017年、大阪府立病院機構・大阪急性期・総合医療センターでの一件が議論を呼びました。ある女性は2016年の12月に内定、2017年の5月頃から医師として勤務予定となっていました。ところが、2017年2月に女性の妊娠がわかったのです。
女性医師は、内的先の女性部長にメールで連絡をしましたが、女性部長が「非常勤で働くこと」を提案したのです。その結果、女性医師は就職を断念しましたが、同センターが女性部長がマタハラを行ったとして厳重注意をしました。
女性部長の言い分としては、「病院に全く貢献なく、産休・育休というのは周りのモチベーションを落とす」とのことであり、世間からも全く勤務していない状態で産休を取ることに対しては賛否両論ありました。かつての考え方ではそれで通ったかもしれませんが、今の時代においてはもう古いものとして扱われるのです。
男女雇用機会均等法に照らし合わせると、「妊娠・出産を理由とした不利益な扱いを示唆する言動」とみなされてしまいます。自分の感覚だけで発言するのではなく、法的に問題ないのかということを自問自答しながら言葉には気をつける必要があるでしょう。
今回は内定していた女性医師が妊娠し、非常勤での就労を勧めた女性部長が厳重注意となりました。この件に関しては賛否両論あり、女性部長を擁護する意見も見受けられます。「内定女性が社会人としての責任がなかった」「女性医師から非常勤に申し出るか、辞退すべき」といった声があり、一度も働いていない女性に産休を認めるという事態に関して共感する人もいることでしょう。
一方で、女性部長の言動をマタハラとみなす意見では「妊娠のタイミングはコントロールできない」「妊娠を迷惑行為として扱っているように思える」といった趣旨の意見もあります。女性のライフイベントである妊娠・出産は、なかなかコントロールが難しい側面があるのも事実です。妊娠を悪いことのように扱う風潮が良くないという立場もあるのです。
休暇の取得に関しては各病院・企業などで条件が設定されているはず。ただ、少なくとも働く女性の妊娠や出産、育児といった話題では、一歩間違えると「マタハラ」として扱われるため、慎重に動くことが求められます。一般的な感覚や常識よりも、法律に則ってアクションを起こしていきたいところです。
内定の女性医師が妊娠し、非常勤という働き方を進めてマタハラとされた女性部長。賛否両論ある難しい話題ではありますが、少なくとも男女関係なく女性の妊娠・出産・育児に対して理解を示していくこと求められます。常識や感覚にとらわれず、法的に問題ないのか自問自答しながら行動していきましょう。