アルツハイマー病は認知症のおよそ7割を占めているとも言われています。従来のアルツハイマー病を血液検査により診断する方法は患者に大きな負担がかかる事から、早期発見は難しい病気とされてきました。
しかしながら、京都府立医科大の徳田隆彦教授らの研究グループは2017年9月、早期発見も可能になる簡単な血液検査によりアルツハイマー病を診断する方法を開発したと発表し、将来的な実用化が期待されています。
今回は、この研究グループによって行われた、新たなアルツハイマー病発見の為の血液検査方法の開発、研究について解説します。
アルツハイマー病は脳内にリン酸化タウなどのたんぱく質が蓄積して発症するとされており、従来のアルツハイマー病の血液検査では、脳脊髄液を背中から採取する方法等が採用されていました。
しかしながら、このような検査方法には患者の体への負担が大きいと言う事がデメリットとして存在しました。
今回紹介するグループは、これらの患者への負担が大きい検査方法に変わる新たな血液検査方法を開発する事を一つの目標とし、研究を開始しました。
研究では、アメリカで開発された高感度の装置を使用し、たんぱく質をとらえる免疫物質や試薬の組み合わせを検討しました。その結果、微量の血液からでもアルツハイマー病発症の原因となるたんぱく質を検出する事が可能となりました。
この検査を60歳以上のアルツハイマー病患者20名と、アルツハイマー病の症状が出ていない人15名に行ったところ、アルツハイマー病患者からは、その原因となるたんぱく質が、症状が出ていない人のおよそ4倍検出されました。
今回開発された検査方法では、最初に10cc程度のごく少量の血液を採取します。続いて採取した血液の中に含まれるアルツハイマー病発症の原因となるたんぱく質濃度を測定し、アルツハイマー病が発症しているか、もしくは、今後発症する可能性があるかと言った事が診断可能となります。
この検査では、自覚症状がない段階でのアルツハイマー病の早期発見が可能となります。アルツハイマー病は、薬の投与や生活習慣の改善等により、その進行を遅らせる事ができるため、早い段階から治療を開始することができるので非常に有効な検査方法と言えます。
今回は京都府立医科大の徳田隆彦教授らの研究グループによって開発されたアルツハイマー病の新たな検査方法について、簡単に解説してきました。
これらの検査方法は、アルツハイマー病治療を抜本的に改める為には非常に有効な方法の一つであり、医療現場への早期導入が求められています。