研修医の中には、実際に研修が始まってから、仕事内容や待遇、或いは職場環境等への不満を理由に、研修中の転職を考える方も多いようです。このような研修中の転職はその実態についてはあまり知られていませんが、なんとなく問題があるようにも思えます。
そこで今回は、研修医の研修中の転職について解説していきたいと思います。
研修中に転職を考える研修医の多くは何かしら悩みを抱えており、ある調査では研修医の3割がうつ状態にあると言う研究結果も報告されています。
このような研修医のうつの原因としては、バーンアウト(燃え尽き症候群)が上げられます。研修医の多くは膨大な時間を勉強に費やし、試験に合格する事で研修医となります。しかしながら合格後の研修はそれまでの試験勉強以上にハードである事が多く、バーンアウト状態になってしまった精神では、それらを乗り切れないと言うケースが多いのです。
また、かつての医師は自己犠牲を厭わず、職務を全うするのが当たり前と言う風潮があったのに対し、近年ではあらゆる職業でプライベートとの両立が尊重されるべきとの考え方が主流になっています。そのギャップに耐えられなくなってしまう研修医も多いようです。
研修には前期と後期があり、それぞれで「ここを乗り越えれば楽になる」と言った「我慢ポイント」が存在します。続いては、前期と後期それぞれの「我慢ポイント」について解説します。
まずは前期についてです。そもそも研修医として配属される病院は、当人の希望が必ずしも尊重されるわけではなく、場合によっては希望していない病院に配属されてしまい、その事が研修医の意欲を大きく削ぐ原因になります。このような状態で研修を始める事となる前期の段階では、職場環境等に不満を感じる事も多く、それがきっかけとなり転職を考え始める方も多くいます。
しかしながら、前期の段階では所属する科が数か月ごとにローテーションで変わる為、現在の環境に不満を感じていても、数か月我慢すれば、また新しい環境に配属してもらえます。その為、前期の研修は、自身の適応能力を養う機会でもあると捉え、前向きに研修を受ける必要があると言えるでしょう。
また、後期研修では、最初に「医局に入り大学病院等に勤務する」或いは、「医局に入らず、自身で勤務する病院を探す」のどちらかを選択する必要があり、この選択を誤ってしまった人が後期研修中の転職を検討する事が多いようです。
後期研修中の転職は前期に比べ比較的簡単ではありますが、中途半端な時期での転職はあまり良いイメージを持ってもらえなくなるため、充分に考える必要があると言えます。
後期の転職は前期に比べ、比較的簡単と言えます。可能であれば避けたい研修中の転職ですが、どうしても転職をしたいのであれば、適切な手順を踏み、最小限のリスクで転職することもできます。
後期の転職が、前期の転職に比べ比較的簡単である理由としては、後期の転職の方が圧倒的に求人数で多いと言う点が上げられます。そのため、「後期研修医募集」等の文言が記された転職情報を中心に探してみると、良い転職ができるかもしれません。
今回は研修医の研修中の転職について解説して来ました。医師に限らず、研修の段階である程度の不満を感じる事はさほど珍しい事ではありません。その為、多少の不満はあっても、それに適応する事もまた研修の一環と考えるべきと言えるでしょう。また、どうしても転職をしたくなったら、計画をしっかりと立て、適切な手順を踏む必要があります。