「女性医師」と一言でまとめても考え方や価値観は人によって異なります。女性がキャリアを優先するのか、あるいは結婚や子育ても重視したいのか、様々な考え方の女性医師のキャリアをパターン別に見ていきましょう。
自分はどこに当てはまるのか、どんな人生を望んでいるのか、ふと立ち止まってプランを見直すと収穫があるかもしれません。
女性医師の中には、バリバリと仕事をこなして、家庭よりも仕事を優先したいという方もいます。
実際、女性の未婚率は年々上昇してきており、女性医師も例外ではありません。医師の人生を考えると、浪人や留年などなく、ストレートで医学部を出ても24歳。そこから研修医として働いて、一息ついたら30代に突入します。そのまま勢いに乗ってキャリアを第一に考えたいという女性も多いのです。
女性医師は医師と結婚することも多いですが、バリバリ仕事をこなしていきたい女性は、時間に融通がきくような働き方をしている男性を選ぶケースも意外と多いようです。
近年は「主夫」という言葉も出てきているように、必ずしも女性が家事をしなければならないという風潮はなくなりました。筆者の知人でも、定時に仕事が終わる公務員男性と結婚をして、家事の7割から8割は男性に任せているという女性がいます。
キャリアを優先したいという方は、結婚相手の男性に関してライフスタイルがゆったりしていることを条件にしてみるのもいいかもしれません。
女性医師である前に一人の女性として結婚し、子供を産んで、育児をしながら仕事を続けていきたいという人もいます。その場合は、家庭へのウエイトも大きくなるので、状況にもよりますが仕事の負荷は減らす必要があるかもしれません。
最近では女性医師のワークライフバランスも配慮されるようになってきており、10時からの勤務や非常勤勤務を実現できるケースも増えてきています。夫婦で共働きでも、お互いに協力しながらうまく家庭とキャリアを両立できる女性医師も多くいます。
勤務する診療科にもよりますが、多忙な場合はネットスーパーを利用して買い物の手間を省いたり、自宅の清掃を業者に頼むのも選択肢の一つです。
日本国内ではハウスキーピングの依頼はあまり一般的ではありませんが、海外では共働きの場合は積極的に依頼をして、家事や子供の世話をしてもらうこともあります。ケースバイケースですが、使える社会資源は活用していきたいですね。
日本医師会の調査によると、平成21年時点で女性医師の休職・離職期間は1ヶ月から6ヶ月未満、6ヶ月から1年未満を合わせると57.7%であり、半数以上を占めています。仕事を休んだとしても一時的なものであり、また仕事に戻る方が多いという結果になっています。
しかし、中には3年以上休職・離職するという女性医師も1割ほど存在し、長く現場を離れる人もいます。もちろん理由は出産や子育てだけではありませんが、医師として働くことをやめる人も一定数いるのです。それも選択肢の一つでしょう。ただ、これは平成21年の報告であり、最近では女性医師の働きやすさを重視してくれる職場も増えてきています。
キャリアよりも家庭を重視したいという女性医師は、基本的には家庭にウエイトを置いて、週1回の勤務でアルバイトをすることも可能です。例えば、入院患者を担当することは難しくても、検査のアルバイトだけを行う医師もいるなど、働き方は多様になってきています。
このような形でキャリアを保っておくと、子供が大きくなってから働きたいと思ってもシフトしやすいかもしれません。また、近年はインターネットが普及したことにより、医師の資格を有した人が、一般のユーザーの質問に答えるサービスを提供する会社もあります。こうしたところにも収入源は広がっていくかもしれませんね。
女性医師は増加してきており、結婚や出産を機にキャリアを諦める人が増えると、社会的には大きな損失となります。女医がキャリアと家庭を両立しやすい環境は少しずつ構築されてきています。
ただ、多忙な職業であることにはかわりないので、キャリアを築いていく場合は社会的な資源を上手に活用していきたいところです。