医師としてのキャリアをどんどん磨いていく人、与えられた仕事をこなしていく人、医師の中にも様々な人がいますが、キャリアを形成する上でどこが分岐点になるのか、時期ごとに見ていきます。
もちろんキャリアの形成に関しては本人のキャラクターも影響を与える大きな要因ですが、医師として飛躍するための姿勢を解説します。
医学部は6年間あるので、最初の2、3年はアルバイトやサークル活動などに励む学生も多いでしょう。学年が上がると、だんだん学ぶ内容が専門的になってきて、臨床での研修も始まるため、学業に専念する人も出てきます。
学生の段階で臨床研修先を選択することになりますが、まずは医師としての将来を考えながら環境を選択する最初の一歩がここに当たります。自身の興味や適性を考えながら将来を模索していきたいところです。
研修医になって2年が経ったら、後期研修先や診療科を決める段階に入ります。初期研修が終わったとき、ストレートにきても26歳。3年目以降の進路として、どこにいくのか、情報収集をしながら考えます。
初期研修においては、日々の業務をこなすだけでも分からないことだらけで大変なものです。ただ、研修をしながらUSMLEなど海外で経験を積むための資格を取得したり、英語の勉強をする医師もいます。
将来のキャリアをこの段階から考えている人もいますが、実際に海外に軸足を置くかどうかは別として、広い視野を持つことで医師としての器も大きくなるでしょう。
後期研修医にもなれば、具体的に将来について考え始めた方が良いタイミングになります。都市部で働く医師になりたいのか、地元の地域医療を支えたいのかなど、具体的なイメージを持つことが望ましいでしょう。環境的にも考えざるをえない状況になるので、ここは多くの人がクリアできるはずです。
後期研修医の段階で、大学院に進学するという選択をする医師もいます。ただ、なんとなく大学院に進学する人は減ってきています。大学院で学ぶことは時間・お金・エネルギーが必要になるので、漠然と大学院にいくのなら臨床で技術を磨いた方が実用的と考える人も多いのです。
しかし、大学院で論文を読み書きする中で培う読解力や思考力は一生の財産になるという人もいます。どちらを選ぶかはその人の考え方や価値観によりますが、環境に流されて終わりではなく、数ある選択肢の中から本当に自分が希望するものを選ぶことが大切でしょう。
医師としてのキャリアは、30代後半にも突入すれば一人前といえるレベルになってくるでしょう。自分が経験した症例も増えてきて、経験値が蓄積されてくる段階です。ただ、中堅になっても努力を怠らない人と、もう仕事で困ることはなくなったからと向上心を失ってしまう人では差が出てきます。
医師として、臨床で多くの人の力になれるよう腕を磨くのか、臨床研究で成果を出せるよう尽力するのか、あるいは開業を視野に入れて地域医療を支えるのか。道は様々ですが、いずれも高いスキルが求められることには間違いありません。
また、年齢とともに新しいことや変化に適応できなくなってしまうものですが、常に貪欲に学び、吸収する姿勢を失っていない医師はいつまでも輝いで見えるものでしょう。もともとのその人の活動性や価値観にもよるところですが、いくつになってもキャリアアップの姿勢は忘れずにいたいですね。
医師としてキャリアを蓄積していく上で、周囲の人を手本とするのは良いことです。ただ、なんとなく周りと同じことをしていくのではなく、数ある選択肢から自分はどのような生き方をしたいのかということを見失わないように注意が必要です。
具体的なビジョンを持ちながら、自分の将来像を考えていきたいところです。