医学部を卒業して医師になると、毎日が目まぐるしく過ぎていくものです。しかし、コツコツとキャリアを積んで周囲と差をつけたいものですよね。今回は年代別に知っておきたい「今の自分に求められているキャリア」をテーマに解説していきます。
医学部を卒業して間もない研修医と話すと、「わからないことだらけで...」「自信がない」といった声が聞こえてくることがあります。
研修医時代には慣れない当直を任されて、不安な一夜を過ごすこともあるでしょう。患者の容体が急変したらどのように判断し、行動すれば良いものかと不安になってしまう瞬間もあるものです。
いくら医学部で学びを積み重ねても、経験値的にはまだまだ一人で業務をこなせる段階には至りません。どんなスーパードクターでも、皆が通る道なのです。最初は誰でもわからないのは当たり前なので、積極的に知識・技術・経験を蓄積していきましょう。
20代後半から30歳すぎまでは、とにかくがむしゃらにキャリアを磨いていくしかありません。周りの医師やコメディカルと良好な人間関係を築き、学ばせてもらう姿勢で仕事に当たることが一番の近道といえるでしょう。
30代にもなれば、専門医の資格を取得する医師も増えてきます。卒後6〜10年頃には、専門医の資格を取っておきたいところです。中には取得しない人、あとで取得する予定の人もいますが、この時期に取ってしまう方がキャリアプランとしては理想的でしょう。
ただ、医療の世界においては「技術」や「知識」が重視される傾向にあり、どうしてもテクニックに走ってしまいがちな側面もあります。専門職と呼ばれる職業には共通していえることかもしれませんが、スキルを重視するあまり、マネジメント力が養われないことがあるのです。
30代半ばにもなると、後輩の医師も多くできるはずです。チーム医療が重視される今、後輩を指導する力やマネジメントする力も磨いていく必要があるのです。
経験した症例数や医学的なスキルという点で能力が担保されていることは前提として必要ですが、そこにマネジメント能力が付加されると周囲と差を付けることができるでしょう。
マネジメント力や育成力があれば、将来的にもポストを得やすくなるという利点があります。マネジメントは理論で学ぶことも大切ですが、実践も大切。日々の臨床の中で身近なスタッフを上手にマネジメントする経験を積み重ねることでトレーニングしていきましょう。
40代にもなれば、人によって医師としてのスキル・キャリアは大きく差が開いてくるものです。もちろん実績や技術も重視されますが、プラスして磨いておきたいのが経営的な視点です。副部長・部長などのポストを狙う場合は、業績が優れている方がより上位のポジションにつくことができるでしょう。
ただ、こうしたポストがついてくると院内で業績報告をする機会が与えられることも。そうした場面に耐えうるだけの経営感覚があると、自分のキャリアにおいては強みになります。
いい治療を提供できれば患者は自然と集まり、病院として機能すると考えている医師も多いかもしれません。それも一理ありますが、より上手に経営することでより良い医療機器を導入でき、職員の待遇を向上させることができます。そういった意味で、経営感覚を持つことも大切といえるでしょう。
20代から40代にかけて、医師として注力すべき方向性が少し異なってきます。もちろん目の前の患者に良い医療を施すことができる技術や知識は欠かせませんが、マネジメント力・経営感覚がプラスされるとさらなるキャリアアップに繋がります。