海外で大きな話題となり、昨今では日本においても認知度が高まりつつある「リーキーガット症候群(LGS)」についてはご存じでしょうか。通称"腸漏れ症候群"とも言われる同症状ですが、様々な研究により「あらゆる病態との因果関係が疑われる」ことが明らかになってきました。
そこで、今回は医師必見の内容として、その詳細をご紹介したいと思います。
日本の医師でリーキーガット症候群を注視している方はまだ少ないのでしょうが、同症状は海外ではかなり一般的なものとなってきています。認知症治療に成功したデール・ブレデセン医師も、その独自の療法の中に「LGSの治療」を導入しているほどです。
アメリカ等では、実際に腸の透過性を調べることによってリーキーガット症候群になっているかどかを検査することが可能ですが、このような検査法はまだ国内では普及しておりません。
また、同症状に対する治療(指導)を行う医師は国内においても増えてきているようですが、基本的に一部の医師を除いてこの考え方自体があまり受け入れられておらず、今後の動向に注目をしたい所です。
リーキーガット症候群を英語で書きますと、Leaky Gut Syndromeとなり、その略が「LGS」です。これを日本語に訳した場合、「漏れている、消化器官、症候群」という言葉になるのですが、端的に言えば腸粘膜の持っているバリア機能が壊れているという事になります。
また、最近では人の血液中から「腸内細菌や歯周病菌」等の発見が相次いで報告されていますが、その原因と言われているものがLGSであり、この症状を引き起こすのが小麦グルテンや食品添加物類とされています。
これらの物質は腸の中で継続的な炎症を引き起こし、バリア機能を弱体化させます。具体的には上皮細胞のタイトジャンクション機能が弱る、腸粘膜が弱る事によって異物の流入が発生します。過去、一流スポーツ選手がLGSの回復から好成績を残すようになった事をキッカケに、LGSは世界中で広く知られるようになりました。
LGS自体は、あまり直接的な体感を及ぼすような症状が発生しません。しかし、花粉症を始めとするアレルギー性症状の元になっていると考えられているため、現在何らかのアレルギー症状をお持ちであれば、注意しておいた方が良いでしょう。
では、現在既にLGSになってしまっている方はどのように対策を行えばいいのでしょうか。それについては以下のように幾つかの方法が提示されています。
上記のように、腸に影響を与えるような遅延型アレルギー食品の摂取を控え、回復させるための食品を継続的に摂取するというのが海外でもよく取られている対策法です。また、LGSへの対策は最低でも1~3カ月程度は期間が必要と言われますが、実際に試すと体が楽になったという体験も良く聞きます。
疲れやすい、眠りが浅い等、細かな不調を感じている方にはぜひ実践して頂ければと思います。
現在、日本人の約7割程度がこのLGSに罹っていると言われています。主食が米からパンに変わったこと、国内において消費される小麦製品の量を考えれば、この試算は妥当な数字と言えるでしょう。皆さん自身も既にLGSとなっているかもしれませんので、ぜひ意識して頂ければと思います。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |