どの業界も、経済社会の変化に合わせ従来のスタイルを変えざるを得ない時代が迫っているように思われますが、これは国内の医療業界も決して例外とは言えません。経済社会の変化にもっとも反応なのは多くの国民であり、様々なサービスを利用する消費者、つまり医療業界から見れば全ての患者様が景気動向の変化に敏感であると考えることができます。
その中で、医師に求められる役割も少しずつではあるものの、確実に変化しているのです。例えば、内科系の診療科目では従来よりもコミュニケーション能力等が重視されるようになっていますよね。ただ、医師としてのスキルあるいは実績、肩書さえあれば転職には事欠かないという時代が、緩やかに変化しようとしているのです。
このような時代の中で、中には「私には医師という仕事は向いていないのではないか」と改めて考えてしまわれる。そのような医師の方も増えていると聞きます。医師としてのスキルに自信がない、体力的に限界を感じる、今のような労働環境では続けることが出来ない等、限界を感じるポイントは人それぞれではありますが、そのような時にこそ改めて再考して頂きたい事がありましたので、今回は少しご紹介したいと思います。
「今のまま続けていく自信がない」と感じてしまった時には、改めてそう感じてしまった理由を詳しく掘り下げてみることが大切です。職業の選択、働き方の選択は一生を大きく左右する極めて重大な分岐点と言えます。
その分岐点が現れてしまった理由は、果たして一過性の感情の動きによるものなのか、やはり物理的に考えても難しい問題が生じてしまっているのか等、どうしてあなた自身がこのまま続ける事ができないと感じてしまっているのかを、少し時間をかけてでもしっかりと意識化しておくことが大切です。
もしかしたら、業務上のエラーによる一過性の感傷的な判断かもしれませんし、冷静に考えてみれば取るに足らないような出来事に足をすくわれてしまっている場合もあります。いずれにせよ、衝動的に結論を出すことはせず、じっくりと見直して見る事が大切です。転職等の具体的な動きに関しては、その後でも十分に間に合うでしょう。
もしこのまま続けるかどうかを迷ってしまう、あるいは悩んでしまった場合には「あなたはどのような事にモチベーションを感じて、医師としての仕事を行っていたのか」を改めて思い返してみるのもいいでしょう。
医師への道を志した頃の気持ちを邂逅してみる、患者様に感謝された時の気持ちを思い返してみるなど、どのような事実をモチベーションへと変え、続けてきたのかを認識することによって、「本当は自分が何をしたかったのか」を思い出すことが出来るかもしれません。
気持ちの整理がついた時、改めて色々な選択肢が見えてくるのではないでしょうか。それは、医師としてこのままの環境でもうしばらく続けてみるという選択であり、医師としては続けるが労働環境を変えてみるという選択であり、あるいは医師としての免許を十分に活用できるその他の業種に転職を行うという選択かもしれません。
長らく医師としての仕事を続けてきた方にとって、キャリアチェンジは大変勇気のある手段と言えます。勤務先となる医療機関を変える、業界を変える等の選択には少なからず何らかの戸惑いを感じることもあるでしょう。しかし、もしも今の状況下において「耐えがたい限界を感じている」のであれば、新たな道を選択してみるのも、決して悪くない選択ではないかと思います。
労働環境は医療機関によって異なるため、医師にとっての働き心地というのは、同じ診療科、同じ業務内容であっても大きく違うものです。その中で、もし精神的あるいは物理的に疲労してしまう等、限界を感じた時には焦らず一度立ち止まってみるのも良いでしょう。自身が仕事を通じて何に限界を感じているのかが見えた時には、次の選択肢がきっと決まっているはずです。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |