医師として出世を狙う方も少なくありませんが、いわゆる"評価される人間"になるためには、医師としてのスキルや経験はもちろん必要となりますが、それだけでは不十分だと言えます。医師として社会的な力を高め、更なるステップアップを目指すのであれば、意識して頂きたいのが「組織管理する能力」であり、マネジメント能力を磨くというということは必ず必要になってきます。
時間をかけて能力を高めることも重要ですが、中には知っておくと便利なメソッドもあります。そこで、今回は医師の皆さまにご活用頂きやすいマネジメントテクニックを少しご紹介したいと思います。
そもそも、何故医師にマネジメントスキルが必要なのかと言いますと、これまでの時代、そしてこれからの時代とでは様々な物の在り方が大きく変わっていく恐れがあるからです。経済社会に関して言えば、中小企業の倒産数は圧倒的に増え、国民一人当たりが負担する金額も増加する一方であり、これまでのビジネスモデルが通用しなくなっている、ということは既に多くのビジネスパーソンが自覚している所でしょう。
その中で、医療業界においても必ずその余波は来るものと考える向きもあります。医師としてのスキルは今後も必須のものとなるでしょうが、それだけでは難しい時代が今後は訪れるかもしれません。そのような状況の中で、高い管理能力をお持ちになられれば、組織の中の一部に留まらず、ご自身の力でより活躍してすることも夢ではありません。今後を生き抜くための新しい力として、マネジメントスキルは非常に最適と言えるのです。
スコープマネジメントというテクニックをご存じでしょうか。スコープマネジメントとは。業務やプロジェクトを遂行していくにあたり、スコープ、つまりその範囲をしっかりと定めることによって、目的を達成する(ゴール)過程におけるブレを修正していき、目標を確実に達成するようにマネジメントしていく技術のことを言います。
スコープマネジメントでは、目標の為に何が必要で、何が不要なのか、その範囲を明確化することによって、必要となる成果、そしてタスクを全てあぶり出すことが最も重要なプロセスであり、それらを漏れなく出していくことによって、遂行する上での無駄を徹底的に省くことが可能となります。
具体的には、以下のようなポイントを押さえる必要がありますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
・最も重要なポイントであるスコープはプロジェクトのマネージャが決定し、共有を行う ・スコープに関しては、進行中は常に見直しを行い、最新の状態を保つこと ・決定されたスコープは目に見える形に明確化し、曖昧にしないこと
日本の医師はタイムマネジメントが下手だという意見がありますが、これは医師のみならず多くの企業内でもみられる現象の1つと言われます。そもそも、医師の場合は多忙を極める事も多く、どうしても労働時間が伸びがちです。圧倒的な業務量の前には、タイムマネジメントをする余裕もなくなってしまうのかもしれません。
しかし、そのような勤務体系が恒常化してしまいますと、モチベーションの低下、業務効率の低下などを招く上、スタイル自体が「その状態に合わせて変化していく」のです。例えば、直ぐに終わるはずの仕事を引き延ばしてしまう、ということも無意識のうちに行ってしまうようになるのです。
人は無意識で時間を管理しているので、私たちが意識的に時間の使い方を変えない限りは、どうしても環境に引っ張られてしまうものです。従来の習慣を変える、という強い気持ちがなければ時間の管理を行うことはできません。具体的に時間管理を行うためには、「時間を有効活用している」と感じるための目標設定が必要です。
極端に言えば、○○時には必ず帰る、当直明けは勤務をしないなど、あなた自身が明確にルールを決定することが良いでしょう。他者の命を扱う以上、あなた自身の能力が低下するような勤務環境を継続することは、多くの方にとって不利益と言えるのです。また、このような時間管理に対する意識付けは、プライベートでも生活を豊かにするために、日常的に活用できるものと言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか。1つ1つのテクニックが非常に濃密なものの為、詳細まではお伝えできませんでしたが、マネジメントを行う重要性が少しでも伝わっていればと思います。昨今、周囲の環境に依存する傾向の強い方が多く、自身でルールを決定し、そのルールに沿って動く事に慣れておられない方も多いと聞きます。ぜひ、ご自身の管理能力を高め、仕事や生活の質を高めて頂ければと思います。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |