開業される際に、もっとも気をつけたいのはやはりお金の流れではないかと思います。医師としての腕が一流だったとしても、経営や運営に関して初めてということであれば、そこはできるだけお一人で頑張り過ぎないようにして、しかるべき専門家に相談する、あるいは契約してみてもらうようにする等、問題が起きないようにリスクマネジメントはしておきたい所です。
そこで、今回は開業初心者、あるいはこれから開業を考えている皆さまに、知っておきたい税金対策の基本の部分を少しご紹介しておきたいと思います。
節税と言えば、真っ先に思い浮かぶのが経費の使用に関してです。経費の中で、節税対策として挙げられるものは主に3種類と言えます。1つは接待交際費、いわゆる交際費用のことであり、通常は接待や仕事上必要となった場合の費用をここに計上します。上限額は年間800万までとなりますが、あるいは飲食代の50%を損金に算入するという方法もあります。
次に、旅費交通費についてです。個人で開業となれば、移動に必要なった費用も経費として計上することが可能です。自身のクリニックに通うために必要な費用、業務上必要な費用は旅費交通費として清算するようにしましょう。必要性がある場合は、宿泊費もこれに含めることができます。
少額減価償却資産についても押さえておきたい所ですね。これば物品の購入に関するもので、30万円を下回る固定資産であれば、経費(損金)に計上することが可能なのです。年間300万が上限と定められていますので、この範囲内で上手に計上することが大切です。また、事業年度が1年に満たない場合には、上限の300万円を12で割った金額×月数分となりますので、忘れないように覚えておきたいところです。
最後に、福利厚生費も大切ですね。 要件さえ満たしていれば、福利厚生費として経費に計上することも可能です。出張手当や慶弔見舞金、社員旅行費、懇親会などの費用もここに含むことが可能です。あくまでも一定の条件を満たす必要がありますが、そういった条件さえ把握しておけば、その範囲内においてそれなりに節税対策を行うことができますので、先ず始めの内に癖付けておくことが大切です。
本筋から少し離れますが、勤務医の方が非常勤のアルバイトに出た場合には、還付金をもらうことも大切です。既に確定申告を勤務先で行ってもらう場合であっても、他の場所でアルバイトを行っていた場合には申告する必要性が出てくることがあるのです。この場合、働いた分を正しく申告することによって、還付金が戻ってくるので、結果的に節税になるというわけですね。もし該当されるようであれば、頭の片隅に入れておきたい情報の一つです。
開業に伴い、節税に関する基礎知識を入れておかなければなりませんが、その中でも大きなウェイトを占めている少し意外なものをご紹介しておきたいと思います。
1つは、人件費です。全くの個人で病院を経営されることは少なく、大抵の場合は少なからず数名程度の人員を雇用することになりますよね。その場合は、支払う給与を人件費として経費に計上することが可能です。源泉徴収を行い、人件費を経費に計上するということは経営の基本ですので、忘れないようにしたい所です。
次に、求人広告費も経費に計上する事が可能です。これは広告宣伝費という科目で計上することが可能ですので、人件費と共に、この2点は人を雇うための基本だと思って、しっかりと覚えておいて頂ければと思います。
基礎中の基礎ということで、知っている人からすれば当たり前のような内容だったかもしれませんね。しかし、開業前にこのような情報を知っておく事で、税金や経費に関する考え方、思考する癖などを身につけるよう、意識していただければ幸いです。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |