"食事で体を治そう"とする動きが近年活発化していることはご存じでしょうか。中には、医師顔負けの知識量をお持ちの方もいらっしゃり、対応に困ってしまった経験をお持ちの方もおられるのではないかと思います。
世の中には健康ブームなるものもあり、調べてみると第○次健康ブームという単語もみられます。
このようなブームの到来は一見ばかばかしいモノに見えるかもしれませんが、時代時代の世相を反映している部分があるという所には少し注目しておきたい所です。つまり、それだけのニーズが潜在的、顕在的に存在しているということですね。そういった土壌を踏まえた上で、果たして"食品で体は治るのか"という点について、少し見ていきたいと思います。
近年、アメリカのブレデセン医師が発表を行ったリコード法という治療プログラムのことはご存じでしょうか。以前にも少しご紹介させていただきましたが、これはアルツハイマーの患者向け食養生法とも言えるもので、患者の検査等も行いますが、基本となるプログラムの中心は「食事」です。
ブレデセン医師は、アルツハイマー病が発症するパターンを検査によって読み解き、その方の体質に合わせて必要な栄養素の補給、食事指導等を行うことによって、非常に高い確率でアルツハイマー病の改善結果を出しています。既に同医師の著作を読まれている方も多いかもしれませんが、驚くべきは「食事・栄養」によってそれだけの効果を出してきた実績でしょう。
同医師が提唱するリコード法の中では、様々な食事に関するポイントが紹介されていますが、その大半を一般の方は知りません。また、プログラムの概要を見ただけでは"何故そのようなことをするのか"が理解できないかもしれません。しかし、同様のプログラムを行うことにより"結果が出ている"事は間違いないのです。
食事療法は"病気を治す"という表現と共に用いられることが多いワードのように思いますが、これは少し誤った表現と言えます。食事療法そのものは、病気を治すことのではなく"乱れた体の状態を元の状態に戻す"ことを目的としています。
継続する事で免疫力や自然治癒力の向上を促し、体内中に蓄積した様々な負担などを軽減することができます。このような事が起こった結果として"症状が治まる、不調が消える"といった減少が起こりえるのです。つまり、食事療法は病気を治すための療法ではなく、むしろ体質改善に近いかもしれません。病気になりやすい体から病気になりにくい体へと、正すことができるのだとすれば、その可能性がこの療法にはあるのです。
食事療法は、基本的に病院の治療を阻害するものではありません。服用されている薬剤等によっては、相性の悪い食材なども存在しますが、基本的に食事療法は"自然な食材+抗酸化力のある食材"を摂取することが多いものですので、出所の不明なものを推奨するようなものでもないのです。
体調が崩れれば養生するものですが、この養生の部分を食にフォーカシングし、より実践的な内容にまとめたものが食事療法と一般的に呼ぶところですので、極端に言えば"栄養をとってしっかり寝る。体に負担のかかるものはとらない"が基本であり、特に特別なものではないのです。そのため体の中の栄養状態などが改善されれば、結果としては薬剤等による治療効果が向上することも考えられるでしょう。
前述のように、食養生・食事療法は"治療"ではありませんので、特定の病気を治すようなものではありません。しかし、栄養状態の改善、体内のPHバランスの変化、腸内環境の変化などがキッカケとなり、一定の不調が消えることは決して珍しいことではないのです。これによって患者が救われるかと聞かれれば、YESと明言することはできません。しかし、結果的に救われる方が出てくるのもまた事実だと言えるでしょう。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |