医師の転職時期と言えば、おおよそ30代半ばから40代前半がもっともピークとみられ、その後も緩やかにそのピークが下がっていくといったカーブを描くものですが、実は20代においても転職を決意する医師が一定数以上存在するという事実は、ご存じでしょうか。
20代での転職となると、おおよそ時期的には初期研修の終了後といった所になるものと思われますが、実際に20代で転職を果たした医師はその付近での転職を決意しているようです。そこで、今回は20代後半の転職事情について、少しお話したいと思います。
では、まず多くの方が気になされるであろう転職理由について、掘り下げてみたいと思います。医師にとって、今や転職はキャリアアップ&キャリアチェンジの為に欠かせない通過儀礼となっていますが、それでもやはり20代での転職というのは、少し早いのでは?という見方をされる方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、これについて改めて調べてみますと、20代で転職をする医師の多くは初期研修の終了後に違う場所への転職を果たしているケースが多いことが分かりました。初期研修終了後となると、いわゆる最初の区切りといった時期であることは間違いありません。通常は、このまま問題なく後期研修へ~となることが慣例ですが、この時点でその場所に見切りを付け、より将来のビジョンに適した場所を探す傾向が高まっているようです。
つまり、将来のビジョンに対して、この段階から貪欲に動いている若手が多い、と捉えることができるでしょう。事実、この段階での転職を行った20代医師の多くは、キャリアを再度検討する、あるいは自身が専攻していきたい分野で"より高いスキルを身につける事が可能な転職先"を求め、活動をしています。
中には、若手医師の育成に注力することがままならない場所での研修を終え、その反動で違う場所を探すというシチュエーションも散見されます。つまり、今の若手でモチベーションの高い人材は、場が自分に合わないと感じれば、我慢を続けるよりもタイミングを見計らって、よりよい場所へ移る傾向が高いと言えるでしょう。
この時期の転職に関して言えば、基本的にはデメリットよりもメリットの方が特に目立つのではないでしょうか。というのも、概ね初期研修終了後のタイミングを見計らっての転職になりやすいものですが、多くの場合は転職の理由も明確であり、新たな転職先に対する意欲も強い時期です。
若手ならではの将来への熱意が強く感じられる頃でもあり、また、若手というだけで受け入れ先となる場所はとても多いのです。転職先に困ることなく、スムーズに次への移動を成功させやすい時期とも言えます。また、後期研修を経てから転職を行うよりも、よりスピーディに"目標に近づくことが可能"という面も大きなメリットと言えます。早期にキャリアを再考するのであれば、この時期はある意味でベストな選択と言えるのです。
20代で転職を行うデメリットに関しては、基本的にあまり気になる程の事はないと言えるでしょう。転職の結果、自身のスキルが高まるのであれば全く問題はないでしょうし、この時期の1度の転職が足を引っ張るということはあまりありません。
強いて言うのであれば、この頃の転職に関しては「勢いで転職してしまう可能性がある」ことぐらいではないでしょうか。まだ経験も浅い頃であり、自身の考えにそぐわないと、すぐ次へ移動してしまうのは、今の若手の傾向であります。そういった側面から見てみますと、忍耐力の不足に繋がる可能性がないとは、言いきれないでしょう。
医師にとっての転職は、今や20代にとっても視野に入れておくべきこと、であることは確かです。医療業界も大きな動きがあるというわけではありませんが、社会経済の変化と連動している事は確かであり、着実に変わっていることは間違いないのです。
そのような中で、今の若手がスピード感を高めた行動をとることが、決してマイナスになるとは限りません。とすれば、早い段階から良りよい情報を得るための行動をとっておくことが、将来的にはプラスに繋がるのではないかと思います。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |