AIの発展に関するニュースが日頃メディアを騒がせているため、医療従事者の皆さんもAIが今後どのように医療現場に関わってくる可能性があるのか、という点について目を光らせているのではないかと思います。AIの進化は今後人間を超えるとも言われ、とてつもない速度で進化を遂げているのですが、今回新たに発表されたAIは医療業界に驚くべき結果を生みだしそうです。
そのAIはアルツハイマー病を、なんと発症する6年前には正確に発見する能力を持っているということもあり、米国では今非常に期待されているAIの一つです。今回は、そのような可能性をもったAIがどのような結果を出しているのか、少しご紹介したいと思います。
アルツハイマー病を発症するかどうかを6年前に見極める、ということは恐らく人には難しいでしょう。しかし、この最新型のAIではなんと4-8年前にはその結果を予測することが可能だと言いますから、驚きです。 小規模なテストにおける結果はなんと発見率が100%だったということで、米国だけでなく、英国のメディアもこの研究結果を大きく報じている状況です。
リコード法など、アルツハイマーを治療する方法が見つかりつつある昨今ですが、その中で早期予防、早期対策を促すことが可能となるこのAIは、今後有効活用されるモデルケースとなるのは間違いありません。このAIの場合は、目視では近くすることが非常に困難なレベルの"脳の変化の差"をAIにあらかじめ学習させることによって、患者の正確な診断を行うことに成功したとされています。
現在、その的中率は100%と言われていますが、今後大きなテストを行っていく際に、どの程度の的中率を維持できるのか、という部分も楽しみと言えます。
この実験の学習においては、なんと1000人分の脳のスキャン画像が使われたとのこと。AIのレベルを高めるためにはあくまでも"学習が必須"となるわけですが、一つの課題としては何をどのようにして学習させれば、良い結果に繋げることが可能か、というポイントの見極めと言えます。その点では、今回のアルツハイマーを早期に発見することのできるこの最新型AIは極めて成功したケースと言えるかもしれません。
しかし、幾ら脳の画像を読み込んだからと言って、本当に100%の確率で的中させられるのかは少々疑問の残る所もあります。というのも、アルツハイマー病は現在"食生活等に起因する所が大きい"と言われるようになってきているからです。
"このままいけば"アルツハイマー病を発症させて可能性が高い、という可能性を早期に見極めることはできるかもしれませんが、実際にアルツハイマーを発症するかどうかは本人にかかっている部分がありますから、実際の現場で完全に滴中させること自体は難しいでしょう。
今回のAI開発における研究では、大量の画像でAIに学習させることで、代謝による微細な変化を捉えることを可能にしたというのが大きなポイントのようですが、同様の仕組みを利用したAIの開発は他の研究でも既に話題になっているところです。AIは大量処理、大量記憶が得意ですから、確かに画像診断のように機械的な診断方法とは相性が良いのかもしれません。
今後、もしかしたら診断は全てAIが行い、医師は治療に携わるという役割分担ができるかもしれないとまで、今では言われ始めました。このようなAIの進化は非常に楽しみな半面、"私たち人だからこそ出来ること"という部分にも、今後注力していくような流れができればとも思います。
アルツハイマーを早期に高精度で実際にAIが判断できるようになれば、曖昧な診断、誤診も減り、トータルで救われる患者様の数は増えるのではないでしょうか。しかし、一方で"今後の医師の役割"を不安に感じている方も多いと聞きます。AIはAIとして、人は人として、上手にその役割を分担できるようなシステムが構築されていくことを、期待したい所です。
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ZY 検査技師として医療機関に勤務。代替医療、食事療法を中心に学んだ経験を活かし、健康をテーマにした内容を広めるべく様々な活動を行っています。食、医療に関しての関心が強く、ライターとして活躍させて頂いております。 |